32歳女性です。31歳の時に採卵をして、8個胚盤胞を凍結しました。そのうちの5個は良好胚でした。今までに4回移植しましたが、①陰性②化学流産③陰性④稽留流産という結果になりました。③で陰性後に調べた母体側の原因としては、慢性子宮内膜炎が見つかったのとth1th2比が高かったです。(他は調べていないので分かりません。)④の時に初めてそれらの対策をして移植しましたが稽留流産となり、染色体検査をしたところ16トリソミーだったことがわかりました。
母体側の検査は別のクリニックで行ったのですが、移植をした元のクリニックの医師によると母体側に原因があるのは5%で残りの95%は胚の問題なので、世間は母体側の問題について盛り上がり過ぎていると言われました。タクロリムスや内膜炎やその他の母体側の検査についても「タクロリムスは免疫抑制剤だから、そんな薬怖くないですか?」とか「タクロリムスやTRIO検査などは流行だから2~3年後には無くなっている」「内膜炎の所見は医師によって分かれるので信ぴょう性が低い」などと言われました。生殖業界の中で本当に流行があってそういう流行はいずれは廃れるものなのでしょうか?
クリニックや医師によって様々な考え方があることは承知していますが、結果を出せていないのでその話を鵜呑みにして母体側の対策をしないことが正しいのか分かりません。
医師の話ではその採卵周期の受精卵全体が良くなかったと考えてまた採卵をするのが近道だと力説されました。見た目では良好胚でも、たまたまその周期で出来た胚盤胞全体が良くないということはよくあることなのでしょうか?(見た目のグレードと染色体異常がリンクしていないことは分かっています。)医師にはよくあることと言われ、採卵し直すとうまくいく人をたくさん見てきたと言われました。
正直クリニックをあまり信頼できなくなっていることや金銭面の問題や、採卵し直してもまた同じように胚盤胞を残せるのか保証はないことなどから、医師の言うことを聞かず残りの胚盤胞を移植するのか、医師の言う通り採卵するのかすごく悩んでいます。
どうすることが絶対の正解というのが無い不妊治療だし、結果論でしかないからこそ、よりよい選択がなんなのかとても迷ってしまいます。
ご意見を聞かせていただけると幸いです。
胚培養士ぶらす室長@不妊治療さん
ご質問ありがとうございます。
順に回答していきますね。
それぞれ考え方があるかとは思いますが、基本的にデータに基づいた内容や客観的な回答を心がけるようにします。
○元のクリニックの医師によると母体側に原因があるのは5%で残りの95%は胚の問題なので、世間は母体側の問題について盛り上がり過ぎていると言われました。
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95%胚側というのは言い過ぎだとは思います。
流産検体の染色体異常を調べた報告によると、40〜60%が胎児の染色体異常であり、残りの60〜40%は胎児染色体正常でも流産しており、原因不明も含めて様々な要因が考えられます。
○生殖業界の中で本当に流行があってそういう流行はいずれは廃れるものなのでしょうか?
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確かに、流行り廃りはあると思います。
今、先進医療として実施されている様々な治療に関しても、本当に効果があるかどうかはっきりしていないので先進医療という形になっていると思います。
中には数年後には消えてしまう治療もあると思います。
これは、不妊の原因が多岐に渡り、「複数の原因を潰さないと妊娠できない」という不妊治療の特色によるものだと思います。
○医師の話ではその採卵周期の受精卵全体が良くなかったと考えてまた採卵をするのが近道だと力説されました。見た目では良好胚でも、たまたまその周期で出来た胚盤胞全体が良くないということはよくあることなのでしょうか?(見た目のグレードと染色体異常がリンクしていないことは分かっています。)医師にはよくあることと言われ、採卵し直すとうまくいく人をたくさん見てきたと言われました。
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採卵周期によって、結果や成績が大きく変化する事は私も経験があります。
※よくある事ではありません
理由はわからないですが、発育卵胞の数や質、刺激法や受精方法の選択などにより変化する可能性が考えられます。
しかし、採卵し直したから上手くいったという言い方はちょっとズルくて、「1回目の採卵で上手くいかなかった方は2回目の採卵をするしかない」というだけのようにも考えられます。
2回目が1回目よりも結果が悪くなるケースももちろん存在します。
以下、個人的意見です。
これまでの既往を見る限り、不育症を疑うのは妥当かと思います。
不育症の原因で代表的なものは、抗リン脂質抗体、子宮奇形、免疫系異常、内分泌異常、そして夫婦染色体異常などです。
採卵する前に、上記の項目に関して異常がないかを調べるのは選択肢として良いかと思います。
タクロリムスやTRIO検査の意義についてはかなり医師により意見が分かれる部分です。
私も、これらの検査の意義については結論が出ていません。
同様の質問は何度か受けており、その度に毎度お伝えしているのですが、検査をするかしないかというものは保険に入るか入らないかのようなもので、検査で何か見つかれば「検査して良かった」となりますし、何も見つからなければ「検査しても無駄だった」となります。
やってみなければわからないものですので、費用面や精神面的な部分をよく考えて実施するかどうか主治医とご相談下さい。
主治医と意見が合わないので有れば、転院するのもありだと思います。
ご質問者様の主治医の先生は決して的外れな事を言っているわけではありませんが、言っていることが絶対に正しいとも言い切れません。
正しいかどうかも検査で調べたり治療を実際してみないとわからないと思います。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。
Tipsありがとうございました。