刑法65条の真正身分犯と不真正身分犯の意味が分かりません。真正身分犯は一定の身分がなければ成立しないの一定の身分とはなんですか？

判例によれば「身分」とは、一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態をいいます。 わからないときは具体例を考えましょう！ 真正身分犯の例でわかりやすいのは単純収賄罪(197条1項前段)の「公務員」です。単純収賄罪は公務員という身分がなければ成立しません。例えば、公務員でない僕が大学の情報を提供する代わりに100万円をもらったとしても、収賄罪は成立しません。一方、公務員である警察官が捜査情報を提供する代わりに100万円をもらったとすると、収賄罪が成立します。 不真正身分犯の例でわかりやすいのは保護責任者遺棄罪(218条前段)の「保護する責任のある者」です。例えば、僕が道端で偶然見つけた赤ちゃんを山奥に遺棄した場合には、保護責任者遺棄罪は成立せず単純遺棄罪(単純遺棄罪の方が法定刑が軽い)が成立するにとどまります。一方、その赤ちゃんを「保護する責任のある者」である同居の母親が赤ちゃんを山奥に遺棄した場合、保護責任者遺棄罪が成立します。 まだ刑法各論の勉強をしていないのなら、刑法各論の勉強を一通り終えてから身分犯について復習すると理解しやすいかと思います！