以前八大学連携フォーラムで博士課程の修了者の社会での活躍について公開議論していたんですが、文科省の人がしきりに transferable skillを強調していたので、先日のニュースでついにお披露目になったかという感じです。文科省の人はMITにマスター留学して、同じ研究室の博士課程の人と一緒に勉強して transferable skills が共通認識化されていることに感激したそうです。
あとは、民間のある研究所の紹介として、博士の特別待遇は特にないがPIは多くが博士号持ちと言ってました。「社会で博士を〜」などという大層な議論に民間が入らなくても個別の企業で利益になるように好きなように採用すればいいだけじゃんって思いました。
https://8uea.org/project/%e6%8f%90%e8%a8%80%e4%ba%8b%e6%a5%ad/ぶっちゃけ現時点でも博士やポスドクやアカポスの経験者を採用している企業は内資外資問わず実際にあるわけですよね。なので、あとはそれが研究開発部門に限定するのか、それともその知的能力に期待して全く別の職務(経営管理とかマーケティングとか営業戦略とか)をやらせるのか、はたまたデータ分析のような博士なら大体普遍的に訓練されているスキルが活かせる職務を任せるのか、のいずれを選ぶかを各企業に決めてもらうことが肝要なんじゃないですかね。その上で、それらのいずれで働きたいかを博士個々人が決めて、それぞれに応じた研鑽を積む(さらに言えばその研鑽できる環境を大学が用意する)ということが重要だと思います。
という話なんですが、もっとぶっちゃけると結局のところ「研究開発しか(それどころか基礎研究しか)やりたくない」という博士があまりにも多い一方で、この地上の人類社会において研究開発に必要とされる人手なんて多寡が知れている(費用対効果の問題が大きい)という、需給のミスマッチが最大の問題なんですよね。なので、現実的には「研究開発以外の仕事も喜んでやる」博士を増やす、というのが最適解になるんでしょう。それが出来ない限りは、どこまで行ってもアカデミアの外側に居場所を見出せない博士たちが滞留し続けるという未来にしかならないと思ってます。