ワーカーズコープの問題について、渡辺さんは「組織的で悪質」と何度も発信していましたが、第三者委員会の報告では「組織的ではなく現場が個別的に行ったもの」と発表していました。
組織からの指示などではなく現場が個別的に行ったのであればもっと別の角度から実態を調査すべきであると思うのですが(不正受給狙いというよりかは人員不足について根深い問題があるのではないかと推測されるので)、ここら辺についてどう捉えていらっしゃいますか?
現在新宿区の学童に子どもを預けており、今回の件に関しては非常に重要な問題と捉えております。今後新宿区で子どもを育てていくにおいてこうした問題への言及にはとても関心がありますので、ぜひ渡辺さんの見解もお伺いしたいです。

渡辺やすし@新宿区議会議員【現役世代に優しい新宿】さん
まず、そもそも第三者委員会の報告書は「何かしら責任を負うものではない」という立ち位置ですし、ワーカーズコープにしか聞き取り調査をせず、新宿区など当事者への聞き取り調査を一切行っていません。その上で、新宿区の疑惑発覚の経緯などについて、「新宿区と見解が異なる」というワーカーズの言い分などをそのままのせるなど、真相究明とはほど遠い内容です。私は文教子ども委員会にワーカーズコープの関係者を呼んで、議事録が残る場で、議員みんなで追及するべきだと考えます。
その前提の上で、全部で89Pあるこの調査報告書を読み解くと、確かに全国の事例では現場が個別的に行ったされていますが、新宿区に関する点では書きぶりが異なり、以下の事実が認定されています。
①ワーカーズコープの新宿区の学童クラブや児童館の運営を引き受ける「新宿わかば事業所」では、少なくとも平成30年から実際はいない職員をいるかのように偽装する「名義貸し」が行われていた。令和2年からは所長自らエクセルで名義貸し用の名簿が作成していて、令和3年に所長が交代したあともこの組織ぐるみの名義貸しは引き継がれていた。
②この名義貸しは「新宿わかば事業所」が独自で行っていたわけではなく、東京中央事業本部の事業部長へのメールなどでも名義貸しの件について報告があり、中央事業本部として「黙認」していたことが認められる。
つまり、渡辺やすしが議会や委員会の質疑で繰り返し主張したように、このワーカーズコープの職員数水増し事件は、ただの現場・一職員の暴走ではなく、「名義貸し用エクセル名簿」という私の想像を絶して悪意あるものが代々引き継がれ、東京本部も長年それを認めていたという組織性が認められています。
報告書を受けてワーカーズコープでは再発防止策を述べています。ですが、この報告書にもワーカーズの再発防止策にも大事な視点が欠落しています。それは、「どれくらいの期間、何人の架空の職員を配置していると嘘をつき、いくらの税金を不正利得を行っていたのか」が記載されていないという問題です。反省の弁を述べるもの、再発防止も重要ですが、一番大事なのは不正に受給した税金の総額を自ら調査して、それを返還するという姿勢ではないでしょうか。現在、新宿区はそれを調査中ですが、そもそもまず、第三者委員会がワーカーズコープがだまし取った金額の総額を明らかにして、それを新宿区がチェックするのが正しい在り方ではないでしょうか。
現在新宿区では、ワーカーズコープにだましとられた税金を返還させるべく、「どれくらいの期間、何人の架空の職員を配置していると嘘をつき、いくらの税金を不正利得を行っていたのか」を調査中です。年度内の文教子ども家庭委員会で新宿区の独自調査の結果が報告される予定です。
学童クラブ全体の人員不足の問題は確かに全国的な問題で、待遇改善など取り組んでいくべきだと考えています。そこに関する私の政策なども後日発表します。
しかし、ワーカーズコープが不正に受給した税金を取り戻すという問題がそのままにされていいわけはありません。新宿区ではワーカーズコープ以外のさまざまな指定管理業者が学童クラブ・児童館を運営していました。これらも当然、人員不足という問題はあったでしょうが、ワーカーズコープのような職員数を水増しに基づく税金の不正受給は一切行っていないことが新宿区の調査で確定しています。この問題を単に、職員の人員配置という問題でとらえることは、反対にワーカーズコープの悪質性から目を背けることにつながる危険があります。
全国的な学童クラブでの職員数不足、ワーカーズコープによる税金不正受給。この独立する2つのテーマを、渡辺やすしは両方とも追及していきます。