マスクで感染予防される方も減り、COVID検査もしない方が増えてきましたが、原因不明の体調不良等で先生の診療科の門を叩かれる方も増えるのではと愚考します。PCC関係では、まずは除外診断をという点を強調する医師も多いですが、エビデンスも揃いつつある中、原因不明の体調不良を訴える患者との関係でPCCではという疑い(先入観)について、先生はどうお考えになりますか?
除外診断を強調しすぎると、形式上は既存疾患と診断されてもCOVID特異的な機序ゆえ治療がうまくいかないケースも増えるのではと妄想したりしております。
まずは除外診断を、という流れは正しいと思いますが、PCC(Post-Covid Condition)に特異的な治療で効果が定まっているものはなく、他疾患と症状がオーバーラップする部分についてはその疾患の治療(マネジメント)から借りてきている状態であるというのが現状かとも思います。例えばPCCとME/CFSの鑑別は困難ですが、前者を疑う場合でも慢性期の抗ウイルス薬投与は(理論的に有効でも)勧められていません。
なのでCovid-19罹患と症状出現との時間関係でPCCを疑う場合でも、CDCウェブサイトに書かれているようなマネジメント(
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/clinical-care/post-covid-conditions.html )から大きく逸脱することはなく、それはコロナ前から行われている「原因不明の体調不良」の患者さんへのアプローチとしても常識的なものだと思います。
今後の科学の進展・PCC病態生理の解明に期待していますが、臨床医としてプラクティカルにはそう考えています。