2024年06月01日

質問者さん

いつも楽しく拝見しています。 Autoimmunity関連で次のようなpreprintが流れてきました(著者解説https://x.com/DrDenDunnen/status/1796901736151392282)https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.05.30.596590v1 LongCOVIDが気になるお年頃なのですが、この研究、どれくらいインパクトを持ちそうですか? 専門外なので、「げっ、」という感想を持ったままフリーズ中です。 ご教示賜れますと幸いに存じます。

2024年06月02日

はぎーどら(huggy.dora)

はぎーどら(huggy.dora)さん

大変興味深い研究のご紹介、有難うございます。Long Covidの患者の血清プロテオーム解析を行うとGFAP(グリア細胞マーカー)・Type 1 interferon発現レベルによって3群に分けることができ、各々の群から得られたIgGをマウスに注射投与するとそれぞれ異なる3様の反応を示した、という研究ですね。 ある疾患が自己免疫疾患かどうか、というのを判定する基準にWitebsky's postulateというものがあり、その基準のひとつに「患者からの自己抗体を実験動物に投与すると類似の疾患・症候群を惹起できる」というものがありますので、Long Covidが自己免疫的な機序を持っていることのindirect evidenceと言えるでしょう。 過去には、Complex Regional Pain Syndrome(CRPS)や線維筋痛症について同様の報告があります〔PMID: 21075025, 34196305〕。いずれも興味深いのですが、再現性は確かめられておらず、またそのような自己抗体(が存在するとして)の除去が症状の改善に結びついたという報告も現時点では存在しないと思います。 再現性の問題に加えてコメントするとすれば、34例と比較的少ない患者数で、3群に分けたpooled IgGを注射している(つまり、同一群内の患者間の差は考慮されていない: 一部の患者が極端にautoreactive IgGを産生している可能性)、IgGのサブクラスは検討されていない、IgGが何をepitopeにしたのかこの実験では不明(そもそもIgGの自己免疫的な機序によってマウスの変化が起きたのかどうかも不明)、などのlimitationsがあります。 そういうことで、「とても興味深いが、再現性の有無・IgGが症状を惹起するメカニズム・実際に抗体の除去で症状は改善するかどうかなどの検討が今後待たれる」あたりの感想を持ちました。途中のmethodsについて詳細なツッコミは入れられませんが、臨床免疫屋としての感想は以上になります。

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はぎーどら(huggy.dora)

はぎーどら(huggy.dora)

ただの呪骸(残機1)。膠原病・リウマチ性疾患にチョトダケ詳しい。

個別の医療相談・受診希望の質問(Query)には応じかねますのでご了承下さい。もっとこう、ふわっとしたやつならOKかも。

はぎーどら(huggy.dora)さんが

最近答えた質問

11月22日

こんにちは よろしくお願いいたします。 先日のノーベル賞医学賞受賞者の発表もありましたが、今現在先生が近い将来に(1-5年後程度)に期待している具体的な新しい創薬技術や治療法は何ですか。あるいは5年以内には難しいけれど10年か20年程度で目星がつきそうな技術。先生の専門領域と専門以外でお答えいただけると嬉しいです。

11月22日

続き質問

萩野先生、丁寧な回答をありがとうございました。 先日の受診で主治医からファセンラへの提案があり、即◎と返答しました。 他の基礎疾患への影響も考慮した時、多分いい結果になりそうな気がします。

11月13日

膠原病専攻医1年目です。膠原病と皮膚領域について勉強をするために、先生おすすめの書籍はありますか?