こんばんは。
以前、新聞社の各部署の解説のような回答がありました。
https://querie.me/answer/FXF48K2hLU75AU2sgg8W
これのTV局版ってどんな風になりますでしょうか?
テレビ局(在京キー局)で言うと、大きな違いは①記者職が社内で圧倒的に強い組織ではないこと、②NHK以外は地方組織がないこと、③編成部というエリート組織、④番組制作寄りの組織編成、⑤記者ではない人が混在するメディア部門ーーということが挙げられます。
①新聞社では記者職が社内的に出世コースとして圧倒的に強いということを申し上げました。これは販売部門が強い讀賣新聞社でも変わりません。それに対してテレビ局ではもう1部門、テレビ番組を作る制作部門という強い部門があって、このプロデューサー職と言われる人の力が非常に強いことが大きな違いです。
現在の経営トップで見ても日テレHDの福田さん、フジメディアHDの清水さんが制作畑出身、TBS HDの佐々木さん、テレビ朝日HDの篠塚さんが記者職出身と、ちょうど二分されています。テレビ東京の石川さんは日経新聞社の政治部記者出身と、テレビ局における社内政治の状況をよく表していると言えます。
②新聞社では地方組織があり、日本経済新聞社以外は若手が10年ぐらいこの地方部で育成されます。NHKはほぼこれと一緒ですが、民放各局には地方組織がありません。このため初任から社会部や政治部といった組織に配属されます。
③編成部という超エリート組織がある。新聞社では紙面構成を決める整理部という部門があって、地味ではあるが社内政治には強いと言いました。この整理部の代わりが編成部と言って、テレビ番組の編成を一手に握る組織です。これが非常なエリートコースになります。
現在の各社社長で見ても、社外から来たテレビ東京と、不祥事で社長が急遽交代したフジを除く3局の社長はすべて編成部長、編成局長、編成担当役員を経験しています。この編成局には報道部門の人間も制作部門の人間も行くので、社内政治的には両者の取り合いになるケースが多いです。いずれにしろ将来の社内幹部と目される人が一度は経験させられるのが編成というポジションです。
④新聞社では政治部、経済部、社会部という縦割り組織があります。これは新聞には政治面、経済面、社会面といった紙面があるからです。しかしテレビ局にはそういうものはなく、あるのはテレビ番組です。ですから割と柔軟な組織が作られます。例えばNHKの首都圏情報部などが典型的で、経済部でも社会部でもない横断的な組織です。番組を制作する上で作りやすいように出来ているのが、テレビ局の報道組織です。
余談ですが、テレビ局と新聞社ではカラーがまったく異なります。テレビ局、特に民放は小難しいことは言わないよく言えば明るい人、悪く言えばチャラい人が比較的多い。その中にあって報道フロアだけが新聞社と変わらないムードなので、社内的に異質の存在だったりします😅。
⑤新聞社で報道局/編集局にいるのは記者職の人間だけです(ごくわずかに編集総務と言われる人もいたりしますが)。しかしテレビ局においては報道局は1部門である場合がままあります。例えばNHKには報道局の上位にメディア総局があって、このレベルにはアナウンサー職が属するアナウンス部や制作の人間もいるメディア制作部が混在します。
これは実際の仕事でも言えることで、新聞社では記者が単独で取材することがほとんどです。記者は自分で記事を書き、写真を撮ります。しかしテレビ局の記者はそういうわけにはいかない。撮影のクルーと行動をともにすることが非常に多くなります。
もちろん記者クラブに属する政治部や経済部の記者というのはいるんですが、記者クラブにベタッと張り付いて取材すると言うより、必要な時だけカメラクルーと一緒にやって来て取材にあたるという感じがあります。
全般的に見て、政治部や社会部といったもののウェイトが比較的低く、その分、新聞社のような社内抗争には至らないです。