丸山ワクチンについてはどのようなご意見をお持ちでしょうか？「標準治療こそ最善の治療」と認識していますが、丸山ワクチンもトンデモ医療に該当するのでしょうか。

丸山ワクチンは、少なくとも「有効性を示唆する質の高い臨床試験は存在しない」と把握しています。丸山千里先生が、皮膚結核・ハンセン病の患者さんに癌が少ないのではないかという1950年代の臨床観察から、結核菌抽出物として「丸山ワクチン」を発想されたのですが、そもそもの出自として「癌が少ない = 予防的効果（の臨床仮説）」なので、治療薬として使うのは違うのではないかと思います。 がん治療において免疫の果たすポジティブな役割は明らかで、Moderna社のmRNAワクチンが難治性悪性腫瘍に奏功したニュースも報じられています。なので丸山ワクチンによる「非特異的な免疫賦活」がもしかすると一部の患者さんに奏功する可能性はあります（過去に「著効例」が報じられたのは不思議ではない）が、どのような患者さんに奏功するのかは事前に予測困難ですし、少なくとも単剤で奏功するのは例外的なケースに限られるのではないでしょうか。 トータルで、標準治療を外れて使用すべき治療手段ではなく、もしそのように喧伝されているとすれば、その医師の振る舞いは「トンデモ医療的」と言ってよいと思います。