脳外科レジデントです。 開頭での止血に関して質問させていただきます。 皮膚切開、筋皮弁の翻転までは、よく止血し無血の術野を維持できるのですが、burr hole作成、骨切り、蝶形骨縁の削除などを行うと、術野が血まみれになってしまいます。 何か止血のコツや気をつけるべきポイントなどありますでしょうか。

ご質問ありがとうございます。 正直なところ、開頭時の出血コントロールについては、ある程度の出血は仕方ない部分があります。それでも以下のようなことを気をつけると良いと思います。 0.　骨切りの段階は、骨と硬膜の剥離をできるだけ行わず、切開線の部分（周囲）だけ剥離する。 1.　血管撮影などをやっているようであれば、板間静脈周囲の骨切は最後に回す、もしくは最初に直上にバーホールを開けて、骨蝋を塗り込む。 2.　バーホールの数を増やして、各バーホールに骨蝋を塗り込みながら開頭する。（腎癌や肝癌の骨転移は多数開けないと、思いがけない出血量になることがありますが、その応用） 3.　髄膜腫などMMAの切断も最後になるようにする。つまり蝶形骨に後ろから切り込むのを後にする。 蝶形骨縁については 4.　蝶形骨縁と硬膜を剥離する前に止血を確認する。特に硬膜外、硬膜静脈などの出血がコントロールできているかを確認。 5.　蝶形骨縁については、蝶形骨の海綿骨が板間静脈となっていることがありますので、そのような場合はとりあえず骨蝋を塗り込む。 6.　ちょうど側頭葉先端部硬膜が癒着している骨の部分は、骨からの静脈性出血が多くなる部分なので、ここに指先で入念に骨蝋を塗り込む。 7.　（他に使う予定があるなら）上眼窩裂付近の静脈出血はアビテンやフロシールが有効。 8.　原則ドリルを使う方針でも出血が多くなりそうなら、さっさとリウエルで削除する。 9.　眼窩縁切除を行わないなら、眼窩緻密骨が見えるところがゴールなので、そこまで行ってから骨蝋を塗り込む。 10.　骨からの出血はドリルで穴を潰すことで止められることがあるので、そういうのも試してみる。 といったところだと思いますが、出血させながらでも削るのを優先する方が、結果的に出血量が抑えられるという面もあるので、バランスが重要だと思います。 参考になれば。