スニーカー文庫から待望の"このラノ1位"作品が受賞されたこと、心よりお喜び申し上げます。
現在、カクヨム発の作品が賞レースでの受賞や映像化を果たし、大変注目を集めております。一方で、ライトノベル業界の将来について懸念を抱いております。その理由は、出版社や編集者が作家を育てるプロセスを軽視する風潮が広まるのではないかと危惧しているからです。
具体的には、カクヨム発の受賞作品は、完成度の高い作品を「セリ落とす」形で選出するにすぎないのではないか、と感じています。
ナカダさんは、このような現状にどのようにアプローチすべきだとお考えでしょうか? やはり、投稿サイトから完成された作品を探す方が人的リソースを必要とせず、今後も主流になるとお考えでしょうか? ご意見をお聞かせいただければ幸いです。

ナカダ(スニーカー文庫)さん
ありがとうございます!(文庫・総合新作といった部門の話もありますがハルヒ以来ですね)
いただいたご質問・ご懸念についてですが、
ストレートな回答にはならないかもなぁと思いつつ回答いたします。
2つほどご質問の中でナカダの考えと違うかも?と感じる点がありました。
1つ目は、「編集者が作家を育てる」という発想です。
ご質問を受けて考えてみたのですが、少なくともナカダにはそもそもあまりない考えでした。
というのも、1冊の本を作る時に作家と編集者の間には立場の上下はないような関係のほうが好ましいだろうと考えており(むしろ厳密に考えれば原作者である作家が立場は上ですね)、編集者が作家を育てるとか教えるといったことは無いように思います。
もちろん、こうしたほうが企画・キャラ・物語等が良くなるのではないか?といった提案をさせていただくことはありますが、そうしなければならない・それが正しいといったことは考えていません。
(互いの経験とかキャリアの差によって主導権をどっちが握りがちかみたいことは生じてしまうかもしれませんが。)
別の質問に対して回答したことがありますが、原稿の最終責任・評価はクレジットに名前が載らない編集者ではなく作家が負うものであるとも考えています(出版社・編集者に何も責任がないということではありませんが)。
原稿だけでなく、最近のトレンド・売れ線・キャラ・物語・その他雑談等々で何かを吸収・咀嚼して作家自信が「育つ」お手伝いができたら嬉しいなとも思いますが積極的に「育てる」といったニュアンスではないということですね。
2つ目は、「完成度」ですね。
カクヨム(やなろう等別のWEB投稿サイト)の作品がすべて「完成度」が高いとも思ってませんし、WEBから書籍に落とし込む必要がある作品が大半なため、そういう意味ではむしろ「完成」しているといいづらくないかな…?といった違和感がありました。
少なくともWEBに投稿されている作品は完成されているから「人的リソースを必要とせず」楽だといった感じはあまりないですね。
質問内容にはありませんが、いわゆる新人賞受賞作や企画から開発するような作品と比較されていると思うのですが、別の大変さがそれぞれあるなと思っています(これらもWEBを経由することも増えてきましたし明確な区別もしづらくなってきているなとも思います)。
実際にナカダが打診を差し上げる時に、WEBの原稿そのまま・ほんの一部だけ変更でといった提案をしたことはなかったと記憶しています。
やや繰り返しになりますが、編集者が完成している/していないという判断をして、それに伴う提案・相談を差し上げたとしても、最終的にそれを採用する/しないの判断は作家が行うことになりますしね。
回答になっているかというと微妙ですがナカダの意見をということだったのでこんな感じです~。なにかしらの参考になれば幸いです…!