○年前の話ですが、当時所属していた組織内で結構深刻なセクハラに遭いました(少しボカして書きますが隣の部署の顔見知りよりちょっと仲がいいくらいの人に夜誰もいない室内で襲われ、相手が射精したことで挿入に至らなかったという感じです)。
当時、このことについて私は法的な請求をしたり、セクハラ窓口に相談したりしませんでした。おそらくそのことが原因で精神的にもやや危うくなり、私が辞めることで済ませました。ただ、とることができた手段をとらなかったことで他の人がその人から似たようなことをされたのではないかと、今思うと悔やんでいます。
仮に上記の場合に弁護士さんに相談していたら、何ができていたか、先生だったらどう思われますか。
ただ、上記のような目に遭ったことを同じ部の多くの人に知られたくない(一部の上司だけ、とかならまだよかった)という気持ちが当時の私にはありました。できればそれに反することをしないという条件の下で何ができたのか教えていただけたらと思います。
ystkさん
大変な目に遭われましたね。
まず、被害の時期を伏せられているので何ともいえないところもありますが、読んだ限り法的請求が今できないとは限らないように思います。そこが最も重要なので、その点を先に述べておきます。
そこで、「当時弁護士に相談していたら何ができたか」とのご質問ですが、「今相談したら何ができる可能性があるか」も含めてお答えします。
ここで少し脱線です。あなた一人にというよりも、読者全員に対する注意喚起です。
今回のように、個別の法的問題を質問箱でお尋ねになる場合、重要なポイントで不明な点があっても私が不明点を尋ねることができません。
そうすると、尋ねることさえできればそこが条件分岐となってピンポイントで答えられるのに、それができないために、こういう場合はこう、こういう場合はこうというように、全ての可能性を考慮して網羅的に答えるしかなくなります。
そのため作業量が膨大になります。しかもその増えた作業量は、(一般的な法知識として他の読者には有用かもしれないが)ご質問そのものとの関係では無駄でしかないわけです。
2000円ものtipsを付けていただいたご厚意は有難いですが、おそらくまともに答えようすれば作業量が膨大になることにお気付きでなかったのだろうと思います。正直なところ1万円でも見合わない作業量になってしまいましたが、それ自体はいいんです。無視することもできたのに敢えてお答えしているので。
ただ、以下の点だけ皆さんに銘記しておいていただきたいのです。
匿名質問でもメールでも基本的には同じことですが、弁護士に一方的に質問をして一往復で答えてもらうということは素人には無理です。そもそも素人は問題点を明らかにする能力を持っていないのだから、質問に必要な事情が必ず漏れています。そして、漏れていてもわかる範囲で答えてくれればよいと言われた場合、前述のとおり、弁護士の作業量はめちゃくちゃ増えます。誰も得しません。
断言しますが、弁護士への相談は口頭か、最悪それが無理な場合でも、チャットなどの即時的な双方向性のあるやり取りでないとできません。このことを覚えて帰ってください。
ところで、私に限らず、ネット上で弁護士にシリアスな相談をすると、「それは大変ですね。法的請求をできる可能性があると思いますが、今聞いたご事情だけでは何とも言えないので弁護士に相談してください」程度の応答になっていることが大半だと思います。
これは何も意地悪をしているわけではなく、業界として商売の機会を守ろうとしているわけでもなく、上記の事情があるからです。こんなところで相談してないでさっさと弁護士に会って話しなさい、それがあなたのためですよ、ということです。
閑話休題。
セクハラ被害に対する法的請求は、大きく①加害者個人に対する損害賠償請求、②会社に対する損害賠償請求の2つに分けられます。以下、分けて説明します。