今回の因果関係は、正直どっちでもいいと思う。たしか、伊藤塾の採点実感もそうらしい。
高速道路停止事件(誘発型)と大阪南港事件(直接型)の混合型のような気がする。検討すべき事項は、①死因と②行為の結果発生の危険性。
大阪南港→死因は行為。介在事情は、異常だけど、なくても死ぬだけの危険性がある。
だから因果関係あり。
高速道路停止→死因は介在事情。行為の危険性自体(高速道路で停止)は、低いけど、当該行為が物理的に誘発する危険性が高いから、行為の危険性が高い。だから、因果関係あり。
しほしけ→死因は介在事情。介在事情が誘発されているかは不明であるが、そもそも死の危険自体はあったわけだから、行為の結果発生の危険性が高いとして、因果関係認めることもできそう。

パッチールさん
結論がどっちでもいい、はその通りだと思うのですが、これに関しては少し違うと思っています。
まず、死因が介在事情によって形成されたのか、行為者によって形成されたのかによって直接型と間接型に分けられると思います。そういう意味では、今回は間接型でした。
そして、間接型で考えるべき危険性は行為が介在事情にどのような影響を及ぼしたのかなので、今回考えるべきは「暴行自体に死の危険性があったか否か」ではなく、「本件暴行が、居眠り運転の車にはねられる危険性を有していたか」だと思います。
さらに、間接型にあっては介在事情の異常性まで考慮に入れないといけません。高速道路事件で「著しく不自然、不相当であったとはいえない」と判示されているのは、この異常性の部分だと思います。
それを踏まえた上で今回の問題についてお話しすると、「本件暴行が居眠り運ての車にはねられる危険性を有していたか」、「病院に向かう途中で居眠り運転の車にはねられることが異常か」という観点で見たとき、個人的には、前者は肯定できたとしても、後者を肯定する(異常性が低いとする)のはキツイと判断したので、否定した次第です。
もちろん、これは各受験者の評価次第なのでどちらの結論を取るのもアリだとは思いますが、質問者さんがおっしゃる、本件暴行が「そもそも死の危険自体はあった」という部分が適切ではないと感じました。それを言い始めると、およそ結果発生の危険性があれば因果性の遮断が認められる余地がなくなってしまうことになります。
ここら辺は徹底チェック刑法に詳しいので、ぜひ読んでみてください。