担当者による差とは、具体的にどのような差を想定されていらっしゃいますか。
当方はFAと顧客側の双方を経験したことがありますが、顧客目線では、人による差は十分に小さく会社による差は十分に大きいです。
顧客目線では、個人の動きの良さよりも組織として連携の良さのほうが重要であり、後者は担当者による差が生じません。進め方の癖も会社に紐付いているようにお見受けします。進め方の癖とは、何をMDが直接担当して何をVPに任せるかなどです。
また、責任者となるセクターベッドのMDは固定されており、この人がイケていないとVP以下などが入れ替わってもイケていないままです。セクターヘッドのMD個人の問題と主張することは可能ですが、他方でセクターヘッドMDの実力は会社の実力そのものだという整理も自然なものかと存じます。
港区さんが個人の差のほうが大きいとお考えである根拠は、どのようなものなのでしょうか。

港区M&Aバンカーさん
これは明らかに有識者からのコメントなので、慎重に回答する必要があり、回答に時間を要してしまってすみません。
具体的には、担当者によって職務の範囲に関する期待値の理解が違っていることがある印象ですが、おそらく質問者の方と私では、見えてる世界に少し差があるなと感じました。
質問者の方は、(GS/MSなどの)一流の投資銀行でFAを経験され、(大手企業などの)一流の投資銀行を使う会社にて、顧客側としてFAに接しているものと想像しています。
おっしゃるように、トップティアの投資銀行の場合は、人材の質の分散が小さい組織になります。組織だった教育と経験が施され、新卒から中で育った人も多いと思うので、クオリティや知識レベルにもばらつきが小さく、誰が担当しても一定のクオリティを担保できるようになっているのだと想像します。
一方で、ティア2以下の投資銀行や、日系のジュニア、FASに至っては大量採用の動物園状態でして、かと言ってちゃんと教育をするわけでもなく、クオリティの担保については、トップティアほど徹底されてない印象でして、担当者の当たり外れによってはサービスのクオリティにばらつきが比較的大きいと感じています。
また、おそらくトップティアにおいても、表面的には見えてこない部分だと思いますが、エクセキューションの機微の部分で、どこまでアクセルを踏むのかや、しゃべりすぎずクライアントに決めさせる場面、アドバイザーとしてのリスク選好は、結構担当者によってまちまちな印象です。
例えば、人によっては、特に外資で育った人は、専門家間の役割分担を明確にひいて、ロイヤーや会計士、税理士のエリアには踏み込まない、踏み込むべきではないと考えてる人が多いと思います。なので、できる助言もあえてしないような瞬間が、ディールの中で数多く発生している理解です。ロイヤーアホだなとか、会計士使えねぇなと思っても、あえて黙ってることもある印象です。
これに対して、人によっては、特に日系から来た人ですが、あらゆるボールをFAが拾うべきだと考えていますから、ロイヤーの領域でも、会計士の領域でも、礼節はわきまえながらも、ぐいぐいFAとして発言していくタイプの人もいる印象です。あえてバカなふりをして質問をしたり、専門的な話をクライアント目線で整理することによって、全体の理解の向上につながり、結果的にクライアントの満足度も高くなる(ディールもうまく進む)こともある印象です。
なにが望ましい動きなのかは、クライアントの経験値や、求めるもの、ディールの状況によって異なりますし、クライアントの満足度を左右するのは、担当者のパーソナリティによるところ(端的には、顔とか声も含めて、好きなやつかどうか)もあると思っています。
なので一概には言いづらいですが、トップティア以下の世界においては、ファームとしていけてるかという要素だけでなく、それ以上にその担当者がいけてるか、という要素が、顧客満足度に与える影響が大きい場面も、あるんじゃないかと、私は思ってます。
具体的にの部分であまり回答になってない感じもしますが、いったんこちらご査収頂き、追加質問クラリ等ございましたらお知らせ頂けますと幸いです。