非常に面白い議論ですので、整理を込めて投げさせて頂きます。私は消却に意味はない派です。
主に議論すべきは以下2点と感じておりますが、論理的に間違っていましたらご指摘ください。
また、1人走りの議論でしたら申し訳ありません。
・企業価値(および紐づく株式価値)と一株あたり株式価値の論点
最初のあたりの議論は自己株式の有無にかかわらず企業総体としての価値は不変である、ということをお話しされていたと思われます。
この論点で会話していたのに、急に株価(つまり一株あたり株式価値)が変わる、という観点で会話し始めたあたりから若干ずれ始めたかと見えました。
・株式価値から、一株あたり株式価値を計算するときの分母株数に自己株式を含めるべきなのでしょうか。
ここからは私見ですが、株式を取得するということは、議決権を取得すると同義かと思われます。そのため、議決権を持たない自己株式を分母に含めるのは無理があると思われます。
ただ一方で、自己株式の消却に意味があるという人やインデックスは、自己株式を保有している会社の方が、自己株式を保有していない会社よりも、潜在的な希薄化可能性が高い、という論拠に立っているのだと思います。(でないとインデックス含めて計算の数に含める意味がわかりません。)
では、自己株式を保有している会社と保有していない会社において、議決権の希薄化可能性に差があるというのは本当なのでしょうか。
言い換えると、自己株式の売り出しと、新株発行による公募増資において蓋然性の差があるのでしょうか。
殆どの上場企業においては自己株式の売り出しも、新株発行の公募増資も取締役会決議で可能なように定款整備されている認識であり、その手続きに有意な差はない認識です。(登記などの些末事務は除きます)
また、自己株売出しも公募増資もロードショー含めた対応も同じ認識です。
とすれば、手続き面も投資家対応も自己株式売出しと公募増資において有意な差はないということかと考えます。
結論、自己株式を保有している方が希薄化が生じやすいという論拠はないかと思われます。
そもそも、希薄化の可能性は会社がエクイティ調達をする可能性が高いか、という論点で議論されるべき話であり、自己株式の有無で左右される問題ではないと思われます。
以上、長文で申し訳ありませんがどうぞ宜しくお願いします。
※流通株式比率の計算式はただのミスかと思われますので、私も機会あれば東証に指摘しておきます。

港区M&Aバンカーさん
整理頂きありがとうございます。概ねおっしゃる通りだと思います。議決権の論点もGood pointです。
付け加えるとするならば、東証の定義は、所有ではなく保有の観点で物を見ていると考えます。(大量保有報告書が議決権ベースではなく発行済みベースであるのと同じロジックだと考えます。)
プライベートサイドの目線では、株券の所有になんら意味を感じないところではあります。大量保有報告書も、そろそろ実務に合わせて、大量所有報告書にしてもらいたいです。
マーケットサイドが頑なに所有にこだわるのは、自己株式の変動を調べるのが面倒くさいからではないかと邪推しています。実際、自己株式控除後発行済み株式数を計算するのは毎度面倒ではあります。