DDやValの本をみると、「（現預金から余剰CASHを除外した）必要現預金は、運転資本を構成する」とあります。この点についてご教示頂きたいのですが、 ①運転資本を構成するのであれば、必要現預金が100増えた場合には、運転資本が100増えるので、FCFは100減るという理解で良いのでしょうか。 ②DCFで予想貸借対照表を作成しない場合、過去の回転期間等で、将来の売上債権や仕入債務を算定し、運転資本増減を算定すると思います。この場合において、必要現預金が運転資本を構成するのであれば、将来の必要現預金についても、売上高に対する回転期間で算定することもあるのでしょうか？

これはいい質問ですね。 結論から言えば、 ①　教科書的にはそうですが、実務上はそうしません。 ②　Minimum cashは売上のｘ％や月商のＮヶ月分という考え方で予測します。 ①について。Minimum Cashを運転資本と考えるというのは、概念的な分類です。余剰現金でも最低現金でも現金は現金であり、使わずにとっておく、ということだけの差異しかないです。教科書的には運転資本であれば期首と期末の差を運転資本増減で捕捉すべきであり、差額は営業ＣＦでキャプチャーされるべきです。ただ、実務上はMinimum Cashを運転資本とみなすことはありません。実務上はMinimum Cashの増減は営業CＦではなく財務ＣＦの計算過程（Waterfallの中）でキャプチャーされます。 ②　最低現金は売上のX％や、月商のNか月分という前提を置くことが多いです。ＸやＮは決まった数値があるわけではなく、評価しようとしている会社の事業特性に左右されるものです。よって、競合他社の現預金残高や、対象会社の過去の現金残高の推移をベースに推計してください。 ご参考までに添付ファイルをご査収ください。