アッピィさん、もしよろしければキャリア相談をさせてください。
現在金融業界にて、上場企業に対し財務面の助言やサポートを行う業務に従事している30手前の者です。やりたいことが明確でなかったため、財務の知識をつけようと思い現職へ入りましたが、自身が突き詰めたいのはアドバイザー業ではなく、例え小さなものでも自身が意思決定者として事業の経営を担いたいという気づきを得ています。
日本創生投資の三戸さんの本や記事を拝見し、個人でも中小企業をM&Aして経営すること自体は可能だと知り、関心を持ちました。アッピィさんも同様に、企業へ自己資金を投じ、経営されていると思います。
ただ、これまでの業務経験では、財務諸表を読み解く能力、基本的な財務会計知識はあるものの、中小企業の経営を担えるようになるには大きなギャップがあるように思い、今から買える会社を探そうとするのは時期尚早に感じています。食品の製造業に強い関心があり、将来的にはその領域で経営ができればと思っております。
そのために、今後どのような場所で、どのような経験を積んでいくべきでしょうか。業界を問わず未上場の会社で経営企画やCFOポジションがあれば飛び込んでみることか、中小企業を対象とするPEファンド等に進むべきか、等と考えております。M&A自体の経験は浅いので厳しいものとも思っています。

アッピィさん
ご質問ありがとうございます!
将来、たとえ小さな規模であっても経営者を目指すのは素晴らしい志だと思います。
そのためのキャリア戦略についてですが、経験がない状態でいきなり会社を買って経営者になるのは避けたほうがよいでしょう。それは、運転初心者がわざわざ事故を起こしに行くようなもので、社員にとって大きな負担となります。
やはり、段階を踏んで経営者に近づいていくのが賢明です。
現在、財務諸表を読み解ける程度の知識をお持ちのようですが、そこからいきなり中小企業のCFO(最高財務責任者)に就くのは難しいでしょう。まずは、中堅企業の経営企画ポジションを目指し、そこで経験を積んだ後、中小企業のCFOに挑戦するのが良いキャリアパスだと考えます。私自身も似たような道を歩んできました。
中小企業のCFOは、財務や経営企画だけでなく、総務、人事、労務、経理、IT、法務など、バックオフィス全般を幅広く見る必要があります。こうした業務を軽視するCFOも中にはいますが、そのような人で本当に優れた人物を見たことがありません。
会社を動かす仕組み、つまり「企業のOS」ともいえるものは、これらの業務に集約されています。オーナー企業で成功している経営者の多くは、小さな会社を運営していた時期にこれらの業務を自ら経験しており、その結果、会社の舵取りを誤ることが少ないのです。
経営企画やCFOとしてM&Aをいくつか経験した後、VCのファンドにLPとして出資する経験をすると、ファンドの仕組みを理解する良い機会になります。これは、将来的に自分でファンドを立ち上げる際に非常に役立ちます。私も会社員時代に自分でファンドを立ち上げたり、LPとしていくつかファンドに投資しました。
また、PMIの技術と経験があれば、資金を集めるのはそれほど難しくありません。そのため、経営に近い実践的な経験を積極的に積むことをおすすめします。
以上、ご参考になれば嬉しいです。
頑張ってください。
アッピィ