りおぽんさん、いつもご意見を参考にさせていただいております。今は会社で働きながら、個人投資家として投資をしており、(50歳です)いつかはFIREを目指しています。りおぽんさんの足元にも及びませんが3億円くらい到達したら資産の大部分をETFに切り替えて4%くらいを切り崩しながらゆっくりと生活したいと考えてます。それで質問なんですが、FIRE後の資産運用についてはそのまま個人で投資し続けるとか、それとも法人化して税制のメリットを受けたほうがいいのか迷っています。個人のまま、法人化のメリット・デメリットやもし法人化の場合は税理士に相談して話を進めるのがいいのでしょうか?よろしくお願いします。

りおぽん@酔象庵主人さん
確かなことは税理士等の専門家に確認していただきたいのですが、法人を設立した場合のメリット・デメリットと僕が考えるものは下記のとおりです。
・メリット
①さまざまな所得が損益通算できる:給与や不動産など様々な所得と株式投資の譲渡所得、デリバティブによる雑所得等をすべて損益通算(損益を合算)できます。これは、質問者さんの場合にはあまり関係ないかもしれません。
②経費を計上できる:説明できる範囲であれば、投資にまつわる種々の出費を「経費」として計上できます。本代、光熱費・通信費の按分などはもちろん、調査のための旅行費用等も経費に含めることができます。
③家族などを社員などにできる:家族を社員にして給与を支払うことができます。その分、所得の分散効果が働き、節税になります。社員旅行や食事会なども、福利厚生の一環として経費として認められる可能性があります。
④損失の繰越が7年間:損失の繰越は個人でもできますが、期間は3年間。それに対して法人の繰越期間は7年間と長いです。また例えば個人では損益通算できない仮想通貨などでも、損益を合算できます。
⑤相続対策になる:資産を法人に移転しておけば、相続はその法人の株式の承継になります。相続税評価額も圧縮できます。また、家族を役員にし、役員報酬を払っておけば、相続税発生時の納税資金形成にもなります。これが僕が考える資産運用会社設立の最大のメリットなんですが、これも質問者さんにはあまり関係ないかもしれません。
⑥減価償却できる:持ち家がある場合、自宅であっても法人所有にしてあれば、減価償却できるはずです。
・デメリット
①会社を設立・運営しなくてはならない:当たり前ですが、法人を登記しなくてはならず、それにまつわる費用がかかります。決算等もあるので、税理士を利用するのが一般的。これらの費用負担に見合う収入があるかどうかが法人設立を検討する上での分岐点になります。
②法人税の方が多額になる可能性がある:個人で株式売買をした場合、いくら利益が出ようと譲渡所得の税率は一律20.315%です。それに対して法人税の実効税率は所得に比例しますが、それより高くなる可能性があります(800万円超で実効税率30%程度)。この辺、上手く立ち回らなくてはなりません。
③時価評価しなくてはならない:法人では、「売買目的有価証券」は決算期末段階で時価評価します。だから「含み益が増えて」いれば、その分にも課税されます。これは注意しておく必要があります(ただし、現在のように評価額が下がっている場合は節税効果があります)。なお、「満期保有目的有価証券」は簿価評価です。
④税務調査が行われる可能性が高い:特に決まっているわけではありませんが、資産運用会社などは個人以上に税務調査に入られる可能性が高くなる気が僕はしています。税務調査に耐えられるよう、きちんと処理をしておく必要があると思います。
質問者さんの場合、法人設立の各種負担に見合う所得があるのかが焦点です。質問者さんの生活設計からすると、正直、どっちもあり。微妙なラインだと思います。メリット②③とデメリット①③を考慮し、よくシミュレーションしてください。