お世話になります。
首都圏私大法学部3年生で、行政法ゼミに所属しているものです。
匿名で大変失礼いたしますが、行政法研究者としてご活躍されている方にご助言いただける貴重な機会であると勝手ながら認識させていただきました。
進路についてご相談させてください。
私は入学当初から災害に問題意識を持っており、将来はこれに貢献できる職に就きたいと考えてきました。3年生に入って以降、進路について幅広く検討してきましたが、やはり国家総合職が最も魅力的であるという結論に落ち着きつつあります(公務員試験については以前より対策を続けております)。
一方で、災害(行政)について勉強するなかで、いわゆる「リスク行政」といった領域が自身の関心に近く、これについて大学院で真剣に勉強し、災害対策における行政の責任・位置づけといった部分の解像度を高めてから官僚になる、またはそのまま研究者となって災害分野に貢献する、といったルートも同じく魅力的であると感じるようになりました(これは2年生の頃からです)。
官僚志望者でも多数は前者のルートではありますが、たとえ総合職の位置づけがジェネラリストであるにしても、不完全燃焼といいますか、多少のもどかしさは覚えてしまいます。
私の知る限り、行政法に限らず研究者となる方は「学術的な関心」から流れで、といった方が多いように思いますが、「興味分野への貢献」から院進を目指すということは、想定としていささか甘い気がしていて、懸念しております(院進が問題意識と向き合うことに直結するのか、という点に不安があります)。
先生としては、上記の進路があったときに、いずれを学生に薦めますでしょうか(前提情報が不足していましたらご指摘くださいますと幸いです)。

Yukio Okitsuさん
まず、災害法やリスク行政は、行政法の中でも重要な分野で、本や論文も出ています。私自身は専門的に勉強したことがないのでそんなに詳しくはありませんが、まだまだブルーオーシャンで開拓のしがいはあるといってよいと思います。
> 私の知る限り、行政法に限らず研究者となる方は「学術的な関心」から流れで、といった方が多いように思いますが、「興味分野への貢献」から院進を目指すということは、想定としていささか甘い気がしていて、懸念しております(院進が問題意識と向き合うことに直結するのか、という点に不安があります)。
これは一概にはいえないように思います。たとえば、私の知っている環境法の研究者には、環境問題への関心や環境保護への意識から環境法の研究を志し、今でも研究のかたわら環境保護活動にも熱心に参加しているというタイプの方が複数います。もちろん学術的な関心が皆無なら研究者は勧めませんが、興味分野の知見を深めたいという願望をもつことはすでに、学術的関心の入口に手をかけているということだと思います。
それに、学部段階で学術的関心を抱いても、その後勉強が進むにつれて表面的なものであったことに気づき、テーマを変えるということがいくらでもあるのですが、現実への地に足のついた関心というのはえてしてその後も続くものです。
ひとつ注意をしておくと、現在「災害法」という科目を独立したポストとしてもっている日本の大学は聞いたことがないので、研究するなら専攻分野としては行政法を選び、その枠の中で災害やリスク行政に関するテーマを選ぶことになると思います。大学院を出た後も、行政法担当の教員として就職すれば、行政法の全分野はひととおり教えられるようにならなければなりませんし、依頼に応じて災害とは関係のない行政法のテーマについて書くことも出てくるかもしれません。したがって、災害法には関心があるが行政法は嫌い、興味がない、ということであれば、少なくとも行政法専攻の研究者をめざすことは勧められません。しかし、行政の責任・位置づけなどに関心があるのであれば、この点は杞憂かと思います。
私は、選択肢のうちどちらか一方を勧めるということはしませんが、書かれた情報の範囲では、研究者の道も質問者さんの希望・関心に十分応えうるもののように思いましたし、いったん大学院に進学してから進路について改めて考えるというのも現実的な選択肢としては良さそうに思いました。ゼミの先生にも相談してみるとよいと思います。