>女性の2倍以上も自殺者がいるというのに、「男性の生きづらさがピンとこない」とか言われてしまうところに、 ネルさんは、男性の自殺者数が女性の倍以上にも及ぶ要因について、どのようにお考えでしょうか？

突き詰めると、 １　就労率が高い ２　経済難に陥ったときに異性や社会から救済されない ３　１や２の状況を受け入れている の３点だと思います。 １について 従前から言及しているとおりです。労働には致死性があるので、労働をすると死亡率は上がります。男性のほうが就労率が高いのは、いわゆるジェンダーロールの影響ではないかと思います。 私は、男女問わず無職の人を軽蔑しているので、この点で性差別はしていません。ただ、「男性は働くべきだが、女性は無職でもよい」という性差別をしている人は、男女問わず一定数います。これが意識的なものかどうかは不明ですが、少なくともそういう性差別が、令和の時代にすら残っていると理解しています。 ２について 女性の場合、ホストクラブにつぎ込んで破産した場合ですら、国や社会から救済されます。救済されなかった場合でも、一定の同情は得られるでしょう。男性が風俗につぎ込んで破産した場合、救済されるどころか、嘲笑されると思います。 また、女性は困窮すると売春することができますが、男性の場合、（性行為が物理的に難しいことに加えて、）売春市場が小さいので、売春で生計を立てるのは難しいです。 言い換えると、女性は困窮したときに売春と自殺を選ぶことができ（かつ、たいていは売春を選ぶ）、男性は困窮したときに自殺しか選択肢がない、ということです。 ３について さらに、１や２のような状況について、男性側も納得してしまっている面があります。無職の男性が軽蔑されるのは仕方がないとか、男性が売春できないのは仕方がないとか、そういう諦めが蔓延しています。 以前カウンセリングに通っていた際に、どのような人が自殺するのか？というテーマで、カウンセラーと議論をしたことがあります。カウンセラーがいうには、自殺に直結する精神状態は、「諦め」だそうです。 経済的に困窮するとか、人間関係がうまくいかないとか、それら自体は自殺には直結しません。それらを発端として、諦めてしまったときに自殺を試みるようです。経済的に困窮し、再起の余地がないと感じてしまったとか、人間関係がうまくいかず、今後解消できないと考えてしまったとか、そういう状況です。 社会がもう少し弱者男性に寄り添って、諦めずに戦える余地を残してあげれば、男性の自殺率は下がるのではないかと思います。