ネルさんこんにちは。
人生に悩んでるときにTwitterを彷徨っていたらネルさんのアカウントに辿り着きました。質問箱を何件か拝読し、感銘を受けました。
どうか助言を頂けないでしょうか、よろしくお願いします。
長くなりますが自己紹介をします。
私は今年32歳になる女性で、今後の職業について悩んでいます。
現在は無職で実家暮らし、母と妹と3人で暮らしています。
18歳で高校の学費が払えずほぼ中退の形で水産会社に就職しましたが、そこでは体力的に長く続かず1年以内に退職しました。
その後はゲームセンターとパチンコ店でアルバイトをしていましたが、24歳で経済的な理由で風俗の世界へと進みました。
約8年間風俗で働き、20代女性の平均的な所得よりは稼いでいましたが、仕事に馴染めなかったり無理をしていたせいで精神疾患を患いまして、その理由もあり貯金や投資などは一切できませんでした。
現在は実家で治療中で少しずつ良くなってきてはいますが、この先の人生を考えて、なにをして稼げばいいんだろうと途方に暮れています。
現在の収入はないので、妹と母からのお金で暮らしています。
母は清掃業のアルバイトをしていて月5万円程度の収入ですが、体が弱くこれ以上は働けません。
妹は会社員で月23万円程度の収入です。3人家族を支えるのには、ギリギリな生活をしています。
体の弱い母に仕事を辞めてもらい、母を支えて養い、妹には自由に暮らしてほしいと思っています。
全て可能にするには手取り月40万円くらいは必要になってくると思い、そのためには稼げる仕事に就きたいのですが、32歳無職で学歴職歴資格無しの私にどんな道がありますでしょうか。
振り返ると、今まで目の前の仕事には一生懸命頑張ってきたとは思いますが、人生への努力や将来への努力はほぼしてきませんでした。正しい努力の方向性が全くわかっていませんでした。
いまから努力するにも時間が残されてない状況だろうと思っています。
お忙しいかとは思いますが、どうかご助言をお願いいたします。

ネルさん
こんにちは。ご質問ありがとうございます。いくつかの論点に分けてお答えします。
1 第一印象について
2 できることとできないこと
3 短期目標と長期ビジョン
4 短期目標の設定
5 長期ビジョンについて
ご質問者さんは現在、「目標はあるけれど、どのように努力してよいのかが分からない」というお悩みを持っているのではないかと思います。この点について、2~4で掘り下げて回答しております。
1 第一印象について
ご質問を読んで最初に感じたのは、ご質問者さんの日本語能力がとても高いことです。文章全体が分かりやすく構成されているだけでなく、必要な情報と解決したい課題が、よくまとまっています。このような優れた質問文を書ける人は、日本全体を見渡しても多くはないでしょう。
私に宛てられたご質問の多くは、その内容から予想するに、いわゆる高学歴な大学生や、大手企業の社員の方によるものです。彼らが書く質問文と比べても、ご質問者さんが書いた文章は、分かりやすくて美しいです。ご質問者さんは、日本語の文章で状況を伝える能力において、日本でトップクラスだと思われます。失礼な言い方になりますが、「高校を中退された方で、このレベルの日本語を書ける人がいることに驚いた」というのが、ご質問を読んだときの第一印象です。
また、いただいたご質問は「お母さまや妹さんを楽させるためには、どうすればよいか」というものです。ご自身の生活も大変な中で、そういう悩みを持つことができるのは、心がきれいな証拠です。多くの人は、自分が楽をすることや、自分の生活を良くすることしか考えていません。すでに豊かな生活をしている人ですら、そういう考え方の人が大半です。
2 できることとできないこと
人生の課題を解決する際に重要なのは、自分に何ができて、何ができないのかを把握することです。できることを実現しないのはもったいないですし、できないことに挑んでも、成果は得られません。頑張っているのに成果が出ないのは、多くの場合で「できないこと」に対して頑張ってしまっているからです(実は大して頑張っていないというケースを除く)。
悲観的になって、私にできることなんて何もない、などと考えるのは好ましくありません。それでは何も解決できないからです。少なくとも、ご質問者さんは、すばらしい日本語能力を持っています。わずか840字のご質問から、それが伝わる程度に優れた能力です。優しい心も長所だと言ってよいでしょう。ほかにも多くの長所があるのだと思います。
一方で、何でもできると思い込むのも好ましくありません。できないことに挑戦しても成果は出ないからです。残念ながら、ご質問者さんのご経歴は、大手の企業からは評価されないでしょう。また、身体が丈夫なわけでもなく、精神的にも強いわけではないと思います。短所もまた、経歴以外にもたくさんあるはずです。
何らかの成果を出すためには、「できること」を目標にするのが大切です。例えば、経歴重視の企業に就職するというのは、ご質問者さんにとっては「できないこと」です。これを目指して努力をしても、時間の無駄になる可能性が高いです。できることを考えましょう。
3 短期目標と長期ビジョン
目標の立て方についてお話します。目標というのは、さまざまな意味で使われています。目標について考えるためには、目標を定義することが大切です。私は、短期的な目標と、長期的なビジョンの2つに分けて考えています。
まず、ここでの「目標」の定義は、
・達成のために必要なToDoが全て分かっていること
・そのToDoを全てこなせば、3回に1回くらいは達成できること
です。「何をすれば達成できるのかはよくわからないけど、とにかくやりたい」というのは、目標ではなく夢です。目標であるためには、具体的に何をすればよいかを把握している必要があります。しかし、人生には運要素もありますから、やるべきことを全部やっても、目標を達成できないことはあります。一方で、5回も10回もやってうまくいっていないのなら、そもそも「達成のために必要なToDo」が間違っている可能性が高いです。
また、「実現する方法は分からないけど、将来はこういうことをやりたい」という希望を持つことは、良いことだと思います。そういう考え方を、私は「ビジョン」と読んでいます。単なる夢や願望ではなく、ビジョンであるための条件は、
・長期的な視点であること
・ビジョンの実現のために必要な目標が、いくつか分かっていること
です。どうすれば実現できるのかが分からない以上、短期間では実現できません。どうすれば実現できるかを、考える時間が必要だからです。一方で、実現する方法を考えてすらいない状態では、ビジョンとは呼べません。単なる夢です。ビジョンであるためには、ビジョンの実現のために必要な短期的な目標を、少なくとも2個か3個は、把握しておかなければなりません。
いくつかの目標を達成していくうちに、次に必要な目標がわかってきて、・・・。これを繰り返すことで、いつかは「達成のために必要なToDoが全て分かっている」という状態になります。こうなれば、長期的なビジョンは、短期間で達成できる目標に変わります。ToDoの全体像が分かっていないビジョンの段階では、いつまでに実現できるかを予想できません。いつ実現できるかが分かるのは、あくまで目標に変化した後に分かります。
もちろん、いくつかの短期目標を達成したあとで、自分のビジョンが「できないこと」だったと気づくこともあります。誰もが全てのビジョンを実現できるほどには、世の中は甘くありません。ただ、ビジョンを実現できなかったとしても、達成した目標が無駄になるわけではありません。目標を達成したことで、少し成長できたことに誇りを持ちながら、次のビジョンを見つければよいのです。
4 短期目標の設定
さて、目標を考えていきましょう。
ご記載いただいた「体の弱い母に仕事を辞めてもらい、母を支えて養い、妹には自由に暮らしてほしい」というのは、長期的なビジョンです。もしこれを1年で達成したい考えているのなら、それはビジョンですらなく、単なる夢になってしまいます。ビジョンを実現するためは、ビジョンの実現につながるいくつかの目標を立てる必要があります。
このビジョンを3段階に分解すると、
・まずは、自分の生活費を自分で稼ぐ
・次に、妹さんと協力してお母さまを養う
・最後に、自分だけでお母さまを養い、妹さんには自由に暮らしてもらう
になると思います。
厳しい言い方になりますが、ご質問者さんは、1つ目ができていません。最初の職場も1年でやめており、その後はパートタイムでしか働いていません。風俗で多少稼いでいても、貯蓄することができず、むしろお金が足りないくらいの状態だったのではないでしょうか。遊ぶお金は自分で稼いでいたけど、住む場所や食べるものは、家族のサポートを受けていた、という状態だったと予想しています。つまり、自分の生活費を、自分の稼いだ経験がありません。
このため、「自分の生活費を自分で稼ぐ」というのが、すでにビジョンに近い難しい目標です。とはいえ、やるべきことは分かりやすいと思います。
a 仕事を再開する
b フルタイムで働く
c 家計簿をつける
d お金を貯める
a 仕事の再開
まずは仕事を再開しましょう。週1回でも、数時間でも、やってみることが重要です。フルタイムで働いて、仕事で活躍して、たくさんのお給料をもらうというのはビジョンです。目標ではありません。仕事を再開する、というのが最初の目標です。やろうと思えば、今日からでも応募できると思いますので、まずは挑戦してみてください。
b フルタイムの仕事
それができたら、週5回働いてみましょう。最初は1日3時間のアルバイトでもよいので、毎日働く習慣をつけましょう。雨の日でも、ちょっと体調が悪い日でも、とりあえず仕事には行きましょう。それができるようになったら、少しずつ仕事の時間を増やして、毎日8時間、週5回働いてみましょう。これがフルタイムで働くということです。
フルタイムの仕事は、理由があれば休んでよい、というものではありません。毎日ちゃんと出勤することが前提だからこそ、いろんな仕事を任せてもらえます。いろんな仕事を任せてもらえるから、周囲の人から評価されて、給与も上がっていきます。
フルタイムで働くということは、決して簡単なことではありません。日本人のうち、フルタイムで働いている人は3人に1人しかいません。クラスに30人いたら、フルタイムで働いている人が10人、パートタイムで働いている人が5人で、残り15人は無職です。そのくらいの割合です。それでも、ご質問者さんがビジョンを実現するためには、フルタイムで働くという目標を達成しないといけません。
c 家計簿をつける
お給料をもらえるようになったら、お金の管理をしましょう。自分がいくら稼いだのかを把握して、食費にいくら、家賃にいくら、日用品にいくら、・・・、と配分を考えましょう。稼いだ金額よりも、使う金額のほうが多いと、「自分の生活費を自分で稼いでいる」とは言えません。きちんと家計簿をつけて、お金の管理をしましょう。無料のアプリでも十分な性能のものがあります。コンビニで何かを買うたびに、いくら使ったのかを記録していきましょう。それができるようなったら、何にたくさんのお金を使っていて、どれを減らせそうなのかを考えてみましょう。
このようなお金の管理は、ちゃんとした会社員であれば、みんなやっていることです。1円まで細かく見ている人もいれば、ざっくりしか把握していない人もいますが、「稼いでいる金額よりもお金を使ってしまい、生活ができなくなる」という人はほとんどいません。自分でお金を管理することも、ご質問者さんのビジョンを実現するために必要な、短期目標の1つです。
d お金を貯める
さて、誰かを養うということは、自分の生活費よりも多くのお金を稼ぐということです。お金を管理するだけでは足りません。管理したうえで、余らせないといけません。家賃を払って、食事をして、日用品を買って、遊びに出かけて、それでもお金が余る状態でないと、誰かを養うことはできません。
「1万円稼いだから1万円使える」という考え方から、「1万円稼いだときは、5,000円だけ使える」という考え方に、切り替えないといけません。ご質問者さんだけでお母さまを養うということは、ご質問者さんの稼いだお金のうち、ご質問者さんが使えるお金は半分しかないということです。他人を養うというのは、かなり難易度が高いです。それでも、成人男性を中心に、多くの人がやっていることです。難しいことですが、不可能なことではありません。
5 長期ビジョンについて
さて、ここから先は、少しだけ説明します。
ご質問者さんは、「体の弱い母に仕事を辞めてもらい、母を支えて養い、妹には自由に暮らしてほしい」という長期ビジョンをもっています。これはビジョンなので、すぐに実現できるものではありません。しかし、4番に書いたような短期的な目標を、1つずつ達成していけば、いつかは実現できると思います。
まずは4番の短期目標を達成して、達成できたら、次にどんな目標を立てればよいかを考えてみましょう。目標を立てるのも練習です。
ビジョンではなく、目標を立てるというのがポイントです。できないことを望んだり、いきなり理想を目指すのはダメです。達成できる目標を立てて、実際に達成するという経験を積みましょう。目標を達成することも、少しずつ習慣になります。「目標は達成できるものだ」と信じられるようになることも、すごく大切です。人間の心は強くないので、「達成できそうにない」と考えていたら、その目標に向けて努力をするのは大変です。でも、「目標は達成できるものだ、実際にこれまでも達成してきた」という自信があれば、ちょっとの困難は乗り切れます。目標を達成する経験を積んで、自信をつけましょう。
まとめると、自分の長所と短所を理解して、「できないこと」があることを受け入れて、その上で目標を立てましょう。自分のビジョンが「夢」で終わってしまわないように、細かい目標を立てて、1つずつ達成していきましょう。ビジョンというのは、その結果として、いつか達成できるようになるものです。
人生はまだまだ長いです。あと50年も60年もあります。どんなビジョンでも実現できるとは言いませんが、これからの人生で多くの目標を達成することができるはずです。よく考えて、苦労して、ときには挫折して、それでも頑張ってみて、いろんな目標を達成してみてください。