ビジネスセンスに関してのご質問です。
①ネルさんのよく使う"ビジネスセンス"の構成要素はなんなのでしょうか?
②その要素は後天的に磨くことができるものなのでしょうか。
③磨ける場合、どのようなトレーニングを積めばよいのでしょうか。
⚪︎背景
システム営業兼エンジニアというポジションです。
生産性や提案内容にセンスがない、という指摘を受けるのですが、そのセンスの磨き方が分かりません。
闇雲に知識を増やしても意味はないと思いつつ、大量の情報に触れる以外にセンスの磨き方が分からず苦しいです。
どのような訓練を積めばよいのか、教えていただけないでしょうか。
ネルさん
まず、過去の回答とツイートを検索してみましたが、私がセンスという単語を使っているのは、せいぜい年に数回程度ですね。
しかも、質問の仕方や、ギャグセンス、服装などの文脈で使っていることが多いため、「ビジネスセンス」というコロケーションを使ったのは過去3回だけのようです。(直近は2023年9月)
したがって、「ネルさんのよく使う"ビジネスセンス"」というものは存在しません。
それはそれとして、ビジネスセンスとは何か?について考えてみると、以下のような論点があるように思います。
1 論理的な概念である
2 粒度は粗いことが多い
3 説得力や信用も重要である
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4 トレーニングについて
1 論理的な概念である
まず、センスとは、感情的なものではなく、論理的なものだと思います。あえて言語化するなら、「現時点では根拠を示せないが、おそらく、論理的に正しい意見」が、センスの良い意見だと思います。いわゆるセンスの悪い人は、ここを勘違いしている気がします。
センスの悪い人は、上司や顧客から、「なんか思っていたのと違う」みたいなコメントをされたときに、感情や好みで批判されたと解釈する傾向があります。そうではありません。上司や顧客は、「論理的に考えて間違っていると思うが、現時点では具体的な根拠を示せない」と言っているだけです。あくまで論理的な否定です。
2 粒度は粗いことが多い
1の性質上、センスが問われるのは、前提となる部分や、大きな方向性についてであることが多いです。細かい知識の不足を気にするのではなく、大枠の仕事の進め方の問題であると捉えるべきです。
それこそ、このご質問もそうです。私がビジネスセンスというフレーズをよく使っている、という前提でご質問されていますが、この前提が間違っているのです。わずか数分の手間を惜しまずに、ツイートを検索すれば、ほとんど出てこないことが分かったはずです。
前提の確認というのは非常に重要です。こういうご質問をされているのを見ると、仕事においても、前提の確認を怠っているのではないかと思えてしまいます。
3 説得力や信用も重要である
1にも関連する点なのですが、センスというのは、初期的な印象で決まるものです。「じっくり考えても、おそらく正しい」のか、「じっくり考えたら、おそらく違う」なのか、それがセンスの良し悪しだと言えます。
言い換えると、正式な正誤は決まっていない段階で判定が下されます。そのため、説得力のある説明をできるかどうかや、発言者が日頃から信用されているかどうかによって、センスの良し悪しの判断は、多少変わってきます。
もっとも、日頃から正確な仕事をしている人は信用されますし、日頃から間違いだらけの人は信用されないので、結果的には、正しい言動をしている人がセンスが良いと評されるとは思います。
4 トレーニングについて
まとめると、「大きな方向性について、その時点で最も正しそうな選択肢を提示し、周囲を説得できる人」が、ビジネスセンスの良い人だと言えるでしょう。
まあ、当たり前のことすぎて、何も言っていないのと同じですね。仕事ができる人、くらいの定義でしかないと思います。
強いて言えば、
・俯瞰的な視野を持ち、全体観をもって意見できることと
・周囲にきちんと説明できること
の2点が重要でしょうか。知識の問題ではないと思います。
1点目については、上司や顧客の意向をしっかりと理解して、それに沿った成果物を出せるかどうかが重要です。
私も新人の頃は意識していなかったのですが、上司や顧客の説明をよく聞くと、ちゃんと趣旨や背景を説明してくれているんですよね。ただ、新人のうちは、それが重要な部分だと思わずに聞き流してしまい、具体的な作業の指示だけ覚えて帰るわけです。そういう動きをしてしまうから、センスの悪い提案になるのです。
2点目に関して言えば、話し手が説明したいことを説明するのではなく、聞き手が説明してほしいことを説明するべきです。この意識が欠落している人は多いです。まあ、自分が説明を受ける側にならないと、この観点を理解するのは結構難しいとは思います。