こちらの質問回答への続きです

12月19日

質問者さん

お答えいただきありがとうございます。 私見では表現の自由の客観法的側面から個別法の要件を憲法適合的解釈すればいいという理解で大丈夫ですかね。 あと、少し気になった点について質問させてください。私見で憲法21条が主観法的側面のみならず客観法的側面をも有するという立場を前提とするならば、そもそも表現の自由に対する制約が認められることにはならないのでしょうか。

12月19日

さむ

さむさん

主観的権利と客観法についての理解がやや不正確に感じられます。 憲法第3章の諸規定は、国民の国家に対する基本権(主観的権利)を定める規範であると同時に、国家を拘束する客観法規範でもあります。両者は表裏の関係にあることもありますが、客観法的規範が単独で定められていることもあります(制度的保障)。 先の私の回答の趣旨は(実際の最高裁が主観的権利としての表現の自由制約性を認めるかはさておき)、私見では主観的権利としての表現の自由への制約は認められないことを前提として、しかし客観法的側面から行政裁量を統制するということです。これは、宮本から君へ事件判決が、「一般的な公益が害されることを理由とする交付の拒否が広く行われるとすれば」「助成を必要とする者による交付の申請や助成を得ようとする者の表現行為の内容に萎縮的な影響を及ぼす可能性がある。」「このような事態は、本件助成金の趣旨ないし被上告人の目的を害するのみならす、芸術家等の自主性や創造性を損なうものであり、憲法21条1項による表現の自由の保障の趣旨に照らしても、看過しがたいものということができる。」と述べている部分のうち、「表現の自由の保障の趣旨」と述べるにとどまり、「集会の自由の不当な制限につながるおそれ」とまで述べた泉佐野市民会館事件判決とは異なることがわかります。ここから、(それが本当に正しいのかはさておき試験対策的な意味で)宮本から君へ事件判決は、主観的権利への制約性までは否定しているが表現の自由の客観法的側面(ここでは思想の自由市場)(ちなみに横大道教授は、まさにPF法理を表現助成にまで拡張することを「公共討論」という観点から正当化します)の重要性から行政裁量を統制した、という一応の理解を導くことができます。

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京大法学部4回生 2023予備試験合格(論文2桁後半)2024司法試験合格(論文・総合10位台)/対応科目:基本7科目+国際私法

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12月20日

続き質問

確かに不正確でした。さむさんの回答から自分なりに調べてみました。以下の理解で大丈夫でしょうか。 ・客観法とは法規範が一般的に国家に対して命令するルール ・主観法とは法の侵害を被侵害者が自らの利益を害されたとして主張できるルール ・基本権条項は全て客観法であり、そのうち一部が主観法としても機能している。 ・主観法(主観的権利)に関してのみ「制約性」という概念が観念できる。(今回の事例で「制約性」を認めるのであれば、PF法理を表現助成にまで拡張する等の方法がある。) ・思想の自由市場論は、表現の自由の重要性を根拠づける論証で使われるのみならず、表現の自由の客観法的側面との関連もある。

さむさんが

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