槙野さん
こんばんは、はじめまして。
長い間年末はバタバタする職種でしたが突然カレンダー通りの連休となり戸惑っております。
それはそうと、周りではまったく共感してもらえない、
こどものころからお正月が苦手だった話を聞いていただければ、と思って書いてみることにしました。
親類縁者がいずれも遠くて、いわゆる田舎に帰る、ということはそんなに頻繁ではなかったのですが、
テールランプの赤い帯となった坂の向こうに見える赤い月、
父が運転しながら飲むコーヒーの入ったポットの匂い、
サービスエリアの汚れたトイレの床、
生臭く冷えたものばかりのおせち料理、
距離感が近く声の大きい親類のひとたち…
ネガティブな印象ばかりが浮かんできますが、
何よりも嫌だったのはお年玉です。
酒の匂いのするよく知らない大人にぞんざいに手渡される小さな袋も、
なぜかこそこそしながら中身を確認することも、
数日の間によくわからない用途にお金が消えていってしまうことも、
悲しくて仕様がなかったのです。
クリスマスには、時間をかけて考えた欲しいものが、
朝起きたら枕元に置いてあったのに。
去年のものも、ちゃんと残っているのに。
そんなわけで、おとなになってもお正月は苦手なのです。
けれど、すっかり物心のついてしまったこどもたちにきいてみたところ、
お年玉のほうが断然いい、なんならクリスマスもアマギフとかでいい、
と言われてしまいました
わが家にサンタクロースが来なくなってしばらく経ちますが、
こどもたちがちょっと喜べるものを考える時間を、私はまだ、
あと少しだけ捨てたくないな、と思ってしまいます。
わがままだとは、わかっているのですが。
今年も、槙野さんの新しい文章を楽しみにしております。
無理のないペースで、末永く更新していただけることを願っております。

槙野 さやかさん
クリスマスプレゼントはちゃんとしてもらったのにお年玉はいつの間にか消えてしまったのですか。それは悲しい。あんまりお正月好きじゃなくなっちゃってもしかたないです。
私が推測するに、投稿者さんの「遠方の田舎」でのお年玉は、子どものための行事ではなく、「お年玉をあげた」というスタイルのためにポチ袋を渡し、しかし実際のところは大人たちが使用していた、そういうものなのではないでしょうか。
現金だとそういう詐欺みたいなことが可能になってしまう。「貯金しておく」と言われていたが実際には使われていた、などというケースもあるみたいです。
現金の汎用性が、財布と心の両方貧しい大人の悪い心を引きだしてしまうのでしょう。くまちゃんのぬいぐるみをだまし取る動機はないものね。ポケモンカードなら売り払う輩がいるかもしれないけども。
そうやって考えると、投稿者さんのお子さんたちは変な大人に騙されたりせずのびのびと育ったのですね。だって、「現金は取られるかも」などと思わず、ただ好きなものが買えることに注目しているのですから。
サンタクロースが来なくなってしばらく経ったおうちの贈り物は、ときどき「お母さん・お父さんのチョイス、いまいちなんだよな」と言われたりするのですが、大人になれば彼らは、そういうエピソードを、イヤそうにではなく、楽しそうにしますよ。現金もいいものではありますが(子どもの経済的自己決定能力が育つし、買い物の失敗や刹那的な無駄使いも早めにやっておいたほうがいいと私は思っています)、贈り物もしてあげたらいいんじゃないでしょうか。