いつも投稿を楽しみに拝見しています。
UI/UXについて、toksatoさんのお話を聞かせてもらえると嬉しいです。
UI/UXの学び方や、そもそもUI/UXをどう定義してるかなど、どんな切り口でも構いません。
もし過去にブログなどで語っていたらそれを教えていただけると。
あざます!投稿見てくれているとのこと、うれしい〜です〜。
さて、UI/UXについて、ですね。
いきなりひどいことを言いますが、僕は「UI/UX」という表記が嫌いですw
※質問者さんが悪いと言ってるわけでも、責めてるわけでもないです。
最近はあんまり認識されてないんですけど、僕は元々は「UX畑の人」だと思います。いろいろやりすぎて今はあんまり・・・ですが。なので、ブログでもたくさん語っています。それは末尾にリンクをいくつか置いておきますね。
その僕が、なぜ「UI/UX」という表記を嫌うかというと、「セットにする必要性を感じない」からですね。
UIはUIであってUXではないし、UXはUIだけにとどまるものではないし。UIはユーザーインターフェイスであって、UXにおいてとても重要なものだけど、UXはユーザーインターフェイスだけで考えるものではないですし。そういう表記をするなら「HTMLマークアップ/UX」だって良いじゃん、と思ってしまいます。
「ユーザー体験(UX)も踏まえてUIデザインをするから、UI/UXでいい」
という人もいるんですが、「UI」の時点で「ユーザー」と頭についているわけで、「ユーザー体験を考えないUIデザインってあるんだっけ?」と思います。UI考える時点でユーザー体験だって考えるのでは?と。それが仮に「ビジネス的な事情によるUI改善」だったとしても「じゃあユーザーにどう届けようか」と考えているわけですから、いちいち「UX」と付ける必要はないのでは?と思います。
(「UXデザインの手法も取り入れて行う」というのであれば、それは[UXデザインの後に、UIデザインをやる]だけだと思います)
さらに言うと、実はこの表記が嫌いというより、(最近はそうでもないと思いますが)この表記をする人たちの多くが「UIをイケてる感じにすること」が「UXデザイン」だと思ってたんですよね。簡単に言えば、手段の目的化をする人がとても多かった、という。
iPhoneが日本に上陸した頃とか、もはやiPhoneのようなぬるぬる動くUIをつくることがUX、となってる人たちもいて。頭が悪い人たちだなぁ、と思ってました(笑)
※そんな「UI/UX表記嫌い」な僕は、数年前に「UI/UXセクション」というチームのマネージャーになってしまうのですから、現実とは辛いものです(笑)
とはいえ、あくまでこれは表記の話ですね。
中身の話に行きましょう。
前述の通り、僕はUXとUIは(交わるところは大いにありつつ)別のものだと捉えています。その上で整理するなら
・UX:ユーザー体験
・UI:ユーザーインターフェイス(ユーザーが直に接する情報)
としか捉えていません。ほんとこれだけですね。
それぞれ、手法はあると思いますし、それらはもういくらでもネット上に転がってるのと、僕のブログやスライドでも紹介してるので、そちらご覧ください(スライドは末尾に置くブログリンク集の最初の2つに置いておきますね)。
だけど、これらの手法すべて、まともにやれる環境は日本国内でほとんどないと思います。いや、ゼロではないです。Webサービスを事業の中心として提供している会社ならあるかもしれませんね。でも、かなり稀であるのと、その手法を持っているだけで高給を稼いでいくのは難しいと思います。
なぜなら、UXデザインでどれだけ高尚なことを言っても実現できないと意味がないから。そして実現するためには、ビジネス面も、開発面も、インフラ側も、さまざまなことが必要です。それらが組み合わさらないと実現せず、それがない案はただの絵空事ですね。
実現しない絵に描いた餅に、経営者はお金をいっぱい払おうと思いません。だから、全部を一人でできる必要まではないにしても、それらにアプローチして、描いたUXを実現できる力がないと、なかなか多くの会社ではフィットしないと思っています(もしくは、なんか小さな規模のデザインを作る人にとどまるか)。
※余談ですが、世のUXデザイナーという人たちは、この実装力へのアプローチが弱く、また技術に対して関心が弱い人が多いな〜と思っています。結果、「なんか壮大なことを言うだけの人」になりがち・・・。
すると、UXデザイン手法だけ学んでいても意味がないし、UXデザイン手法をそのままなぞるのも難しいとも思います。だから、僕はUXデザイン手法というのは「自らの体内に取り込んで、常日頃いつでもそれを実践するためのもの」だと思っていますね。
カスタマージャーニーひとつとっても、わざわざ市場調査したり、膨大な顧客情報を集めたりするんじゃなく、それらは日常的にいつも観察していて、そして外に出ても、通勤の時間でも、何かの店舗の前に立っていても「いま、ユーザーであるお客さんはどういう気持ちなのかな?」と勘がるための、その手法がUXデザイン手法だと思っています。
だから、学術的に学ぶことはもちろん重要だと思います。
だけど、それをそのまま使うのがすべてではなく、その概念を自分の体内に取り込んで、いつだってペルソナを脳内で意識して、世の中のサービスやコミュニケーションを観察する、そのためのものであり、それが「UI/UXのデザイン能力を上げること」だと思いますね。
と言う感じですが、いかがでしょうか〜?
また何かあればぜひご質問ください!
【ブログリンク集】
UI設計に関する社内セミナーをやりました。
https://toksato.hatenablog.com/entry/2014/09/22/181729
「UX設計の第一歩」というスライドを公開しました。
https://toksato.hatenablog.com/entry/2016/04/05/193338
日々を生きるだけでUX力を高める方法。
https://toksato.hatenablog.com/entry/uxup-evday
UXをつきつめると性格が悪くなる問題。(と、3つの対処法)
https://toksato.hatenablog.com/entry/ux-seikakuwaru/
UI/UXという表記がだんだん嫌いになってくる。
https://toksato.hatenablog.com/entry/2014/04/01/004925
「UI/UX」表記をやめろと言いたいわけじゃなくて。
https://toksato.hatenablog.com/entry/2014/07/06/213344
「ここにメインビジュアルを置きます」←IAとかUI設計の人が言っちゃダメなやつ。
https://toksato.hatenablog.com/entry/mainvisual/
数千ページのワイヤーフレームを書いてきたWebディレクターがUI設計時に気を付けている8つのこと。
https://toksato.hatenablog.com/entry/2016/12/05/202407
IAやUI設計における「この情報どっちに置こうか問題」。
https://toksato.hatenablog.com/entry/2015/10/10/194728
「機能」か「ベネフィット」か、なんて言ってる時点でUXなんてやめちまえ。
https://toksato.hatenablog.com/entry/ux-yamechimae/