こんにちは
初めまして。
培養士さんにご意見を聞きたい事があり
探していたところ、ここに辿り着きました!
現在不妊治療中で3回目の顕微授精に挑もうとしています。
今、凍結している卵が1つあり4BCです。
その卵を顕微授精する時の動画を見せて頂いた時なのですが…
卵子に精子を注入し注射器のようなものを抜く時に、卵子の中の細胞が外に一部でてしまっており、卵子の4分の1くらいの大きさの細胞の塊が出来ていました。
動画を見せてくれた培養士さんに聞いたら
よくある事です!と言われましたが
この受精卵は大丈夫なのかとても心配です。
胚盤胞まで育ち4BCと言われており
グレードが低いのは分かっていますが
もしこの卵で着床し妊娠できたとしても
大丈夫なんでしょうか?
この気持ちまま移植に進むのが不安で…
ご教授頂きたいです。

胚培養士ぶらす室長@不妊治療さん
tipsによるご質問ありがとうございます。
もし、ご質問者様の記述が正しければ、その現象は滅多におきませんし、私の経験ではよくある事ではありません。
しかし、全くないわけではなく、顕微授精のインジェクションピペットを卵子から抜く時に卵子の中身(細胞質と言います)が流出してしまう事はあります。
細胞膜を破いて精子を注入すると、ほとんどの卵子はすぐに細胞膜の修復を始めるので細胞質が漏れ出す事はありません。
一方で、漏れ出してしまう卵子は、もともと卵子の細胞膜の伸びが悪く、大きく細胞膜が破れてしまって細胞膜修復がうまく起きていない卵子であると考えられます。それは通常の顕微授精でも一定数起きてしまうのですが、ほとんどの場合はそのまま崩壊して卵子が変性してしまいます。
さらに稀なケースですが、そこから回復して生き残る卵子もあります。その場合も、受精率や胚発育率が低下する傾向があります。
移植しても大丈夫かどうかについては、稀なケースなのでなんとも言えません。
卵子の細胞膜にはたくさんの発育に必要なエネルギー源やタンパク質、ミトコンドリアなどが含まれていますので、流出しないに越した事はないと考えています。
また、顕微授精の際にかなりのダメージを受けていると想像できるため、それを修復するために大幅にエネルギーを使った事も考えられます。
それでも、胚盤胞まで発育したので、頑張った受精卵だとも思います。
私が気になったのは、その状況の動画をわざわざ患者さんに見せて、よくある事と言ってしまう事です。
顕微授精の技術面でとても心配があると思いました。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。