いつもありがとうございます!
移植に対して、患者はどんな風に気持ちを持っていたらいいでしょうか?
9週流産、融解失敗、化学流産、と、この1年で不成功体験を重ね、移植前のワクワクした気持ちを持つことができなくなってしまいました。
淡々と繰り返すしかないのかもしれませんが。私が泣いている今この瞬間も、周りの友達は普通に妊娠出産して幸せな子育てをしてる。とか色々考えてしまったり、夫からは、ちゃんと移植する卵に向き合わないと、と言われ。分かってはいても、自分の体で卵の答え合わせをするのは女性。
本当に本当につらいです。室長先生であれば、このような反復不成功の患者に対して移植時にどのように言葉をかけますか?
少しでも自分のお守りのような言葉に出会いたくて質問させていただきました。

胚培養士ぶらす室長@不妊治療さん
難しいご質問ですね。
お守りのような言葉を言えるか全く自信はありませんが、私の考えをお伝えしてみます。
移植に望む反復不成功の患者さんに対しては
「受精卵を信じましょう」
と言います。とても普通ですが。
結局のところ、私は「受精卵が産まれる力を持っているかどうか」だと思っています。
そして、それは最終的には「我々の手の離れたところで起きている」と考えています。
もちろん、妊娠するための様々な努力や検査は無駄ではありませんし、そのために医療提供側も患者さん側も最善を尽くすべきです。
ですが、やはり受精してからの受精卵は、もうご夫婦とは別の個体として動き始めています。
(受精卵が新しい生命かどうかの議論はここではおいておきましょう)
少し話は飛躍しますが、子育ても同じだと思っていて、親はやっぱり子に対してあれこれ手を出したり、過剰に心配してしまうものです。
でも、最終的にはその子がどのように成長して、どのような人間に育っていくかは「親の計り知れない所」です。
むしろ過剰な事をしたり、過剰に心配し過ぎる事で悪い方向に働いてしまう可能性もありますよね。
どこかで「信じて見守る」というフェーズに移行しなければいけないと思いますし、もし何か上手く行かなくても「頑張ったね」と言えるようにしていく必要があるじゃないかな、と思っています。
移植のフェーズでは、医療提供側も含めて
我々はサポーターです。
プレーヤー(受精卵)が着床し、その後頑張って発育していくのを信じて見守りましょう。
さて、私の考えは以上なのですが、おそらくあんまり刺さっていないと思います。笑
治療に行き詰まった時や精神的にツラくなってしまった時は、臨床心理士による不妊カウンセリングがお勧めです。
私はそのような資格を習得していませんので、心理学の専門の教育を受けた先生方に話を聞いてもらうと気持ちが楽になるかもしれません。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。