現役美大生です。世間一般で言われる美大生像があまりにも浮世離れで、珍獣のようなまだ見られていることをつらく感じていました。そしてみんな金銭的に豊かだという偏見も。
確かにそのような層が多いのは否定できなくても、たくさん苦労している人はいると思います。大学での専攻として美術を選ぶという特異性、ある意味実学ではないことが偏見を助長させていると思います。そして、珍獣のように見られて注目を集める手法をとっている、美大界の罪でもあると思います。
いい意味で美大への偏見がお嬢様が美大生の思考を説明していただくことで打破されるといいなと思います。

東京藝術大学お嬢様部さん
偏見や珍獣扱いによる害は心理的には多いのですが、世間様に「美大藝大生、アーティストも普通の人ですよ」と訴えたら「普通をなんで特別扱いする必要が?」とさらに存在感を失うでしょう。確かに《普通》に一体誰が金を払い、凡庸を誰が褒め称えるのでしょうか。
ロマン主義の時代の先人たちは、芸術に関わる人間は特別であり霊感を表現する《天才》が導くものというセオリーを作ってしまい、そのレールの上に特別扱いが許されてきました。世の中とは違う変わった存在だからそのような表現が許される、という近代社会との密約です。まだその神話は生きているでしょう。それを破り、私たちも普通の市民であり〜と謳ったらそれは芸術の立脚点を揺らがせるかもしれません。200年の負債と殉死したいならいいのですが。
つまり芸術に携わる人は変人ばかりで、道化や世捨て人のようであってほしいという近代の社会的合意への挑戦は歓迎されないです。不快ですがそれに乗るのがルールかのように提示されています。社会批判や闘争と常に向き合ってきた欧米と異なり、特に日本では未だ濃厚にそれが残っています。謎めいた違う世界の人を演じなければ、誰も目を向けてくれないかもしれません。藝大生もそうです。