日系投資銀行で勤務しているものです。
リクルーティングに携わっているのですが、就活生からよく投資銀行とFASのMA部門の違いについて質問され、回答に窮しております。
扱うディールのサイズは明確に違うと思うのですが、他にあまり身をもって違いと断定できるところがございません。
よく投資銀行はMA繋がりで市場からの資金調達へのビジネスに繋げられる、TOB代理人ができるなども言われておりますが、それはM&Aアドバイザリー部門のフロントの人間が直接的にやることではないので、リアリティのある話ではないと思っています。
港区バンカーさんから見て、投資銀行とFASのMA部門の違いについて、港区バンカーさんはどのように考えていらっしゃいますでしょうか?

港区M&Aバンカーさん
たぶん私ほどFASとIBDの違いをちゃんと説明できる人はいませんよ。みなさんと一味違った観点から、わかりやすく解説しましょう。
デフォルメしていうと、まず機能としては全く同じです。FA業務ピリオドです。機能が違うと騒いでる人は素人なので、そういう人の言ってることはとりあえず無視していいです。
さて、でもコンビニのカップラーメンと谷瀬家のラーメンは、同じラーメンでもそりゃ違いますよね。では何が違うのか。何が10倍くらいのフィーの差を正当化するのか。
1️⃣ラーメンの材料が違う
人材は明確に違いますね。FASにいる人たちは普通に優秀な人たちです。一方でIBDにいる人たちは化け物級に優秀です。材料が違えばラーメンの味にも差が出てきます。まぁコストも高いのですが…
2️⃣ラーメン屋に来るお客さんが違う
客層も結構違いますね。FASの顧客はM&Aが初めてだったり慣れてなかったりするので、会計士先生教えてください、というところから入ります。カップ麺でもそれなりに美味しいじゃんとなります。一方でIBDの顧客は舌が肥えているので、そんな教科書的なこと分かってるよプラスアルファでどんな示唆与えてくれるの?っていう感じの期待値ですね。
3️⃣作ろうとしているラーメンが違う。
難易度が違いますね。FASの案件は、非上場株が多いから会社法ドリブン。塩ラーメン、味噌ラーメン、醤油ラーメン、とんこつラーメンみたいな感じ。一方で、IBDの案件は、基本的に上場会社を相手にしてるから、会社法を前提にしつつ金商法ドリブン。煮干しあごだしラーメン、魚介豚骨ラーメン、鶏白湯ラーメンみたいな感じ。
4️⃣ラーメンを食べるシチュが違う。
FASの案件は、まぁ外しても運が悪かったで済む。誰の首も飛ばない。いわば、野郎で飲んだ帰りに炭水化物欲しいから食べるラーメンのイメージです。 IBDの案件は、社運がかかってるので、失敗したらディールチームリーダーのキャリアは終わり、会社が傾きます。まぁ気合の入った美女を落とす時に、3軒目で入る勝負ラーメンです。ここで外すと1軒目2軒目で積み上げた信頼が崩壊しかねない重要なシチュエーションの案件です。
5️⃣ラーメンを食べた後の物語がある
FASは良くも悪くもあんまり業界や顧客カバレッジ的な発想がないので、案件ごとに一期一会って感じです。でもその一件で全サービスラインでフィー取ろうとする感じ。ふらっと入るラーメン屋さんだけど餃子もチャーハンも枝豆もビールもスイーツもある感じ。一方でIBDは真剣にカバレッジしているので、発行体とは長い付き合いです。何よりファイナンス案件を落とすわけにはいかない。株価もつき続けて明白にその後の成否がわかる。ゆえに、M&Aの後も継続的にカバーして行く。でも商品は株、債券、アドバイザリーのみ。いわばメニューはラーメンのみ。みたいな。
いかがでしょうか。有識者の方、質問や修正案があればお待ちしています。