いつもポストを拝見しており、温かさが伝わる文章や、ユーモアさ、言語化能力の高さにいつも感銘を受けています。ありがとうございます。
質問です。
最近、フリーランスとして働く中で悩んでいることがあります。(フリーランス一年目)
デザインのスキルにはある程度自信がついてきた一方で、クライアントワークや価格設定に自信が持てません。
その影響もあって、最近はクライアントに対して不満を感じてしまうことが増えています。
自分でも良くないと思っているのですが、ついサービス精神が強くなりすぎて追加費用をもらわずに対応してしまったり、細かい要望にも応えすぎてしまいます。
その結果、「ここまでやるならもっと対価をもらいたい」と感じたり、ここまで答えてるのになんで感謝の気持ちがないのか、、など次第に気持ちが疲れてしまいます。
(修正は無制限で対応しております。
理由は、たとえばご要望に十分沿えていないことが原因で違和感が生じている場合もあると考えており、その点については私の責任だと判断しているためです。
ただし、当初のご依頼内容から大きく変更となる修正については、別途費用をいただく旨を事前にご了承いただいております。)
また、最初からそこそこな価格を提示するのが怖く(個人的にはそれでもリーズナブルな方だと思っています)想定より安く見積もってしまうこともあります。
自分としては「ここまでやれば十分満足してもらえるだろう」というレベルまでやっているつもりなのに、良い関係を築けている実感がありません。
むしろ、感謝や配慮を感じられない場面に対して、モヤモヤや嫌悪感が溜まってしまいます。
納品物自体には満足していただけるのですが、やり取りや要望対応に疲れ、「割に合わない」と感じてしまいます。
また、私自身のやり方が間違えているから、そうさせているのではないかとも思います。
案件が終わるたびに疲弊してしまい、休んでからでないと次に取りかかれない状態です。
自分のやり方にも問題があるのは分かっているのですが、何をどう改善すればいいのか分かりません。
説明しないとトラブルになる、でも説明しすぎると嫌がられる。
価格も上げたいのに上げられないなど、
色々と分からなくなってしまっています。
ぜひトミナガさんのご意見をお聞かせいただけると幸いです。
よろしくお願いします。

トミナガハルキ | フリーランス歴10年な人さん
まず、ここまで丁寧に状況を言語化してくださっていることに驚きました。フリーランス一年目で、ここまで自分の問題を構造的に捉えられているのは、それだけで一つの強みだと思います。その上で、正直に言います。
読んでいて一番感じたのは、「優しさの設計ミス」です。悪い意味ではなく、あなたの優しさや誠実さは本物だと思います。でも、その優しさを「仕組み」に落とし込めていないから、感情で処理するハメになっている。それが疲弊の根っこだと感じました。
僕も似たようなことで苦しんだ時期がありますし、今もまだ模索中の部分はあります。クライアントワークに正解なんて無いですが、僕なりに思うことを書きます。
▪️「修正無制限」は、優しさではなくリスク
お気持ちはすごく分かります。自分の力不足かもしれないから、修正を断るのは申し訳ない。その考え方自体は誠実だと思います。ただ、「修正無制限」と明示してしまうと、クライアントにとっての判断基準が一つ消えます。つまり、「ここまでが範囲」というラインが無いので、「まだ頼んでいいんだ」という認識になりやすい。それは相手が悪いのではなく、仕組みがそうさせています。
「当初のご依頼内容から大きく変更となる場合は別途費用」というルールを設けている時点で、あなたはちゃんと線引きの概念を持っています。あとはその線を、もう少し手前に引くだけです。たとえば修正は3回まで、それ以降は追加費用、のように。「私の責任かもしれないから」は、回数の範囲内で十分に誠意として伝わります。
▪️「感謝されない」のは、あなたの問題ではない可能性が高い
これは厳しい言い方になるかもしれませんが、クライアントの多くは、デザイナーの内側で何が起きているかを知りません(想像の10倍以上伝わっていないと考えてみてください)。「ここまでやってくれている」という認識がそもそも無いことが多いです。なぜなら、あなたがそれを「当然のサービス」として提供しているから。追加費用をもらわずに対応するということは、相手にとっては「それが標準」なんです。
つまり、感謝されにくい構造を自分で作ってしまっている面がある。これは自分を責めてほしいのではなく、「仕組みを変えれば感情も変わる」ということを知ってほしいのです。
▪️価格の話
怖いのは分かります。僕も最初そうでした。でも、ちょっと視点を変えてみてください。安く見積もることで得ているものは何でしょうか。「断られない安心感」ですよね。でもその安心感と引き換えに、案件のたびに疲弊して、回復期間が必要で、次に取りかかれない状態になっている。それはもう、安く出した意味がトータルで消えています。
価格を上げるのが怖いなら、いきなり大幅に上げなくてもいいと思います。次の案件から少しだけ上げてみる。そして、その価格に見合うサービス範囲を「事前に」明確にする。修正回数、対応時間帯、含まれる作業の範囲。これを曖昧にしたまま進めると、あなたの中で「ここまでやったのに」が溜まっていきます。でもそれは、相手と共有されていない期待値ですよね。
▪️「説明しないとトラブルになる、でも説明しすぎると嫌がられる」について
これもすごく分かります。ただ、僕が思うのは、「説明」のタイミングと形式の問題かもしれないということです。口頭でゴチャゴチャ言われたら誰でも面倒に感じますが、事前に簡潔な書面やメールで共有されていれば、大抵の人は納得してくれます。むしろ、ちゃんとしてるなと安心する方が多い。
最初に交わす取り決め、修正の回数、対応可能な時間帯、追加で費用が発生するケースなどを書面で整えてみてください。これは相手を縛るためではなく、自分を守るためです。ルールがあるだけで、「ここから先は追加費用になります」と伝えるハードルがグッと下がります。
▪️最後に一つだけ
案件が終わるたびに疲弊して休まないと動けないというのは、すでに赤信号だと思います。一年目でその状態なら、二年目三年目はもっとキツくなります。フリーランスは長距離走です。毎回全力疾走して息切れしていたら、走り続けられません。
あなたのやり方が「間違っている」のではなく、「優しさに仕組みが追いついていない」だけかもしれません。スキルに自信が出てきているのなら、その自信を価格と仕組みにもしっかり反映してください。自分のサービスに適正な対価を設定することは、冷たいことでも傲慢なことでもありません。むしろ、長く良い仕事をし続けるための、いちばん地味で大事な部分だと思います。
偉そうに色々書きましたが、僕もまだまだ手探りでやっています。一年目でここまで考えられているあなたは、きっと大丈夫です。ただ、「大丈夫」は自然に大丈夫になるのではなくて、仕組みを少しずつ整えていった先にあるものだと思います。応援しています!