「きれいな」スライドを作るセンスって、やっぱり才能ですか？

質問者様が、「きれいな」と敢えてこの言葉を鍵括弧で強調いただいたように、「きれいな」スライドって、一体どういうものなのでしょうね。 もっと言えば、そのスライドを見る相手は、本来どのようなスライドを求めているのでしょうか？ そもそも、スライドって本当に必要なのでしょうか…？ 「きれいな」＝「私たちが目指すべき」、とあえて少々異なる定義に置き換えるならば、（スライドを作ることが多い我々にとっても）この問いは非常に奥が深い問いのように感じます。 “「私たちが目指すべき」スライドを作れる能力って、やっぱりセンスですか？“ 結論から申し上げると、98%「思考」＋1%「スライド技術」＋１%「美的センス」と個人的には思っています。 前提として私論ではありますが、そもそもスライドは“主役ツール”ではなく、あくまで“意思疎通の補助輪”だと思っています。 なぜかというと、本来的には“文章”があれば、伝えたいことの核心は十分伝わるからです。 ではなぜスライドをアウトプットとして使うのか？ それは、文章だけではどうしても伝わりにくいことが少なからず存在するからです。それを、二次元＝視覚的認知を通じて、より伝わりやすく／理解しやすくするためです。 ・業務がどういったフローとなっているのか ・組織はどのような構造になっているのか ・市場は成長しているのか？縮小しているのか？ ・対象会社と競合他社は、どのようにすみ分けられているのか？ ・問題発生の構図はどうなっているのか？ 例えばこういった内容を伝えるには、オブジェクトやグラフで整理して伝えた方が良さそうですよね。「文章」の持つ能力の限界を超えてきたものについてのみ、初めて二次元的な図解の出番になります。 その上で、なにか伝えたいメッセージを伝えるための1枚のスライドを作るとします。 そのメッセージ（仮に「X」とします）を言い切るためには、どのような要素が必要で、その要素の関係性はどのような構造なのでしょうか？ ・A⇒X ・A＋B＋C＝X ・A×B＝X ・A＋B＋C（=d＋e）⇒X ・A⇔B：X 色々な要素や構造（関係性）があると思いますが、その要素・構造が自分自身としても納得できて初めて、「X！」と胸を張って言えるのではないでしょうか？ なので、まずは大上段として「なにを伝えるべきなのか」（：X）を十分に思考する必要がありますし、「伝えたいこと（X）がなぜ言えるのか？」という問いと行き来しながら、その要素を構造化して考えてみる必要があります。 また、各要素の位置付け／関係性を俯瞰して考えてみればみるほど、各要素の優先順位や濃淡が浮かび上がってくるでしょうし、“本当にそれで合っているのか？”と自問自答すればするほど、「よくよく考えてみるとＡとＢは一緒の話だった」だったり、「この要素はもはや要らないのでは」といった考えも出てくるように思います。 そのようにして、まずは“必要十分”な要素に至るまで出来る限り洗練させる（足す／削るを繰り返す）こと、熟考の先に至った“要素”・“構造”・“強弱”を、“そのまま”視覚的表現に落とし込む（図式化する）“ことなのだと思います。 よって、まずは“考える（思考）”が一丁目一番地 その上で、「スライド技術」、例えば ・メッセージ・サブメッセージ、図解／グラフをどこに置くと、パッと見で読みやすいか ・どのようなオブジェクトを使うと、その構造をそのまま示せるか といった技術としての引き出しを獲得すること さらには、「美的センス」、例えば ・配置／バランスの美しさ ・余白の持たせ方 ・色使い／フォント を磨くことによって、より「私たちが目指すべき」理想のスライドに近づけるのではないかと思っています。 繰り返しにはなりますが、結論、スライド作成に手を付ける前段階の「思考」の質×量が「きれいな」スライドに繋がる最大且つ最重要なドライバーであり、それは決して“才能“ではなく、磨くことで後天的に獲得できるもの、だと思っています。 Manager 関