北宋書画精華ではじめて北宋絵画を見てきました。北宋の山水画でも意外と？煙雲が描かれていて、あのような湿潤な表現は南宋の山水画に特有のものだと思っていたので驚きました(ちなみにおそらく南宋のものも実物は見たことありません)。北宋と南宋の違いとは何なのでしょうか？

煙雲は山水画につきもので、南北関係ありませんが、その機能は違うと思います。南宋の煙雲は湿潤な空気の表現ですが、北宋のものは鑑賞しているこちら側に、視点が変わりましたと示す枠組みの装置です。 北宋の山水画は当然ながら西洋風の一点透視図法ではなく、近景・中景・遠景の独特の遠近法があります。それらを一枚の絵に収めているとはいえ、どこから見ているかは異なります。そのため「ここからは後景ですよ、視点変わりますからね」と示すために煙雲をいれたりします。郭熙の《早春図》などは分かりやすい例です。 中国の美術愛好家が、我々の芸術はキュビスムを900年も先取りしていたと語るジョークがありますが、視点の変化を示すために使われました。 南宋なら馬遠や夏珪という名前で調べるといいと思います。煙雲は絵の中での機能というより、南方の湿潤な空気を表すための表現になっています。