いつもネルさんのツイートを拝見させて頂いている者です。
大変興味深く読ませて頂きました。
こちらの質問をさせて頂いた者ではないのですが、こちらについてもう少し詳しくお聞かせください。
どのように自分自身に嘘を吐いていると気が付いていますか?
人間、自分を納得させるためや、周りの意見に流されて働く自身への嘘という作用は非常に巧妙且つ強力な物だと思いますが、何かコツがあるのでしょうか。
人によって合う気付き方がある方は思いますが、ネルさんご自身のケースをご教示頂けますと幸いです。
人間は自分に対しても嘘を吐くというお考え、とても衝撃的でした。
思い当たる節が多過ぎるからです。
私は現在進路に迷っています。
就活生の時は何をしてでも手に入れたかった職業に就いたにも関わらず、それを1年程で辞めようとしています。
理由は複合的ですが、理由の一つはそもそもこの職業を目指した理由が社会的にステータスが高い職業の価値が高いという周りの意見に感化され、適正や人生における目標を無視して自分に嘘を吐き、その嘘に対して全く自覚的でなかったからだと思います。
そして、転職する際はなるべく自分に嘘を吐かず、あるいはせめて嘘を吐いていることを自覚した上で物事を判断したいと考えています。
この様な事を相談できる人が周りにおらず、大変お手数をお掛けしますがご回答頂けますと大変有り難いです。
何卒宜しくお願い致します。

ネルさん
自分に嘘をつかないために、私が意識しているのは以下のポイントです。
1 実績を確認する
2 建前を確認する
3 判断をする
4 自分との向き合い方
1 実績を確認する
まず、感情ではなく実績に基づいて考えるのが重要だと思います。実際に行動していることは、単に考えているだけのことと比べて、嘘である可能性が低いからです。
例えば、プログラミングの勉強をしていない人の言う「エンジニアになりたい」は嘘ですし、英語の勉強をしていない人の言う「グローバルな環境で働きたい」も嘘です。毎日何時間もゲームをしている人が、「別にゲームが好きなわけではない」と言っていたら、それは嘘です。休日のほとんどをベッドの上で過ごしているような人が、「広い家に住みたい」と言っているのなら、それもまた嘘です。
自分の本心は、言葉よりも行動に表れます。自分はどうしたいのだろうか?と自問するときは、まず、自分の過去の行動を確認すべきです。
2 建前を確認する
また、あえて嘘を書き出すのも効果的です。
就職・転職の志望動機などがわかりやすいと思います。志望動機は何か?と自問すると、嘘と真実が入り混じった文章になってしまいます。一方で、建前の志望動機は何か?と自問すると、ほとんどが嘘で構成された文章になります。そのうえで、「では、本音の志望動機は何だろうか?」と確認したり、「建前のうち、完全にデタラメな部分はどこだろうか?」と自問したりすると、自分の嘘が見えてくると思います。
あえて嘘を書き出すことで嘘を見抜くというのも、有効な手段だと思います。嘘であることが分かれば、今後、同じ内容の嘘は通用しなくなるはずです。
3 判断をする
日頃から気を付けておくべきこととして、判断するというものがあります。
例えば、毎日30分のウォーキングをしようと決めていたのに、どうしても出かけたくない日がやってきたとします。このときに、「やらないといけないけど、面倒だなあ」と考えながら、結局やらずじまいになってしまうのが、最も好ましくありません。そういう場合は、「毎日30分やるというルールを決めたのに、単に面倒だからという理由で、今日はサボることにした。今後、毎日やるという目標を立てるときは、自分がそういう目標を達成できない人間であることを意識しなければならない」と、口に出しておくのがおすすめです。自分なりに、やらない判断をしたという証拠を残すのが大切です。
こういう習慣をつけておくと、自分の苦手なことを自覚することができます。この積み重ねが、自分の嘘を見抜くヒントに繋がります。いざ、自分に嘘をつかれたときに、「いやいや、お前はこういうときに約束を守らないタイプの人間じゃないか」と、自分に反論することができます。
この点については、拗らせの予防にも繋がります。「転職したいけど、新しい職場でやっていけるか不安だし、でもいつかは考えないといけないし、」と悩むくらいなら、「転職先でやっていけるかどうかが不安なので、今は転職活動をしないという判断をする。半年後にもう一度考える」と口に出しておくのが良いです。そうすれば、あのとき転職していればよかった、といった後悔をする可能性が低下します。
4 自分との向き合い方
1~3のような対策をすると、自分があまりにも嘘つきであることに気づいて、自分自身に失望すると思います。やると決めたことをやらず、やりたいことのために努力はせず、自信満々に嘘八百の夢を語るような人間であることに、気づかされると思います。
しかし、そこからが本当の人生設計なのです。夢や希望ばかり並べた計画は、どうせ実現しません。等身大の自分がどんな人間なのかを理解し、しょうもない自分を受け入れて、そんな自分に何ができるのかを考えていくべきです。そうすることで、過度な目標に振り回されることがなくなり、「少し頑張った」というだけで自分を認めることができて、現実的な人生を歩めるようになります。
これこそが、幸福になるための努力なのではないかと思っています。