ネルさんって、PMIの経験はあるんですか？（今はFAやってないと思いますが）ディールの規模とか、業務への向き合い方みたいな話はありますが、PMIの話とかはあまり出てこないなと思いまして 部外者的には、どれだけノウハウのあるFAがついたとしても、契約締結後にしっかり組織として機能するかとか、価値向上に貢献しているのかが関心事項のほとんどなんですが もちろん、経験値のあるアドバイザーが伴奏してくれることに越したことはないとは思います

私の職歴は非公開ですが、PMIは、未経験者の想像ほどには重要でないと思います。 なぜなら、投資としての企業買収が成功するかどうかは、どの企業をいくらで買ったかで、80%くらい決まってしまうからです。 良い企業を妥当な価格で買収できれば、ごく標準的なPMIをやるだけでも、利益はどんどん伸びていきます。投資時の計画は危なげなく達成されますし、投資時には想定していなかったアップサイドが、大きな苦労なく実現されていきます。 逆に、微妙な企業を高値で買収すると、その時点で厳しいんですよね。PMIにリソースを割いたところで、状況は打開できません。売上は伸びないのに、コストだけは順調に増えていき、投資後1年も経たないうちに、誰の責任なのか？みたいな議論が始まってしまいます。 そのため、企業買収を成功させるためには、良い企業に投資する機会を逃さないようにソーシングをやって、微妙な企業を高値掴みしないように案件執行をやるというのが、何より重要だと思います。 教科書に書かれているPMIは、投資先の価値を高めるプロセスかもしれませんが、実務におけるPMIは、どちらかというとガバナンス体制を整えたり、社内規定を整備するプロセスという意味合いが強いです。 特に、大手の上場企業が買収者となる場合、子会社にも上場企業並みのガバナンスを求めることが多いので、これが結構大変です。そして、ガバナンス体制の整備は、（未経験者には想像しづらいかもしれませんが、）非常に重要なことです。 子会社の本業がうまくいくかどうかは、買収時にだいたい決まってしまっているので、買収後に親会社にできるのは、ガバナンス面でしっかり支援して、立派な会社になってもらうことだと思います。 なお、FAは良くも悪くも意思決定に関与しないので、買収案件が失敗してもFAのせいではないですし、成功してもFAのおかげではないです。あくまで、顧客が決めた方針（この企業をいくらで買う）を実現するためのサポートをしているだけです。 もっとも、FAなしで案件執行をするのは非常にしんどいので、FAの存在意義がない、みたいな話をしているわけではないです。案件執行において、FAは非常に重要な役割を果たしています。