以前からネルさんのtweetや質問箱など拝見してますが、意思が一貫していて尊敬します。 (職歴は非公開かと思いますので推測ですが) 前職での経験によって現在の価値観が強く形成されている印象ですが、 多くの人は少し期間が空いて心身に余裕ができると、例え激務でも見栄えの良い仕事に戻る判断をしがちだと思います。

ありがとうございます。 人生と向き合ううえで参考になるかもしれませんので、詳しく書きます。 １　人生の目的 ２　自分に対して嘘をつく １　人生の目的 まず、私の人生観と職歴にはあまり関係がありません。明示的に書いたことがあったかどうかは覚えていませんが、私が人生の目的について考えるようになったのは、祖父の葬儀がきっかけです。たまたま、社会人になったばかりのころに祖父が亡くなっただけです。 葬儀の場で、10年ぶりくらいに従兄弟に再開しました。3人の従兄弟が、3人とも高卒で就職し、全員結婚していて子供がいました。生まれ育った田舎で、実に楽しそうに人生を送っていたわけです。私は、それなりの大学を出て、それなりの企業に就職し、それなりの収入を得て、都心3区に住んでいましたが、幸福だと感じたことはありませんでした。 ツイッターで言われるような「スペック」でいえば、私のほうが圧倒的に高かったはずです。私と彼らとは、遺伝子も何割かは同じですし、外見も年齢もだいだい同じです。田舎で生まれ育った点も共通しています。他方で、勉強や仕事に対する努力量は、私のほうが何倍も多かったと思います。それにもかかわらず、彼らのほうが幸せそうだったことに衝撃を受けました。 それまでの私は、努力をして競争に勝てば、幸福になれるものだと考えていました。妄信していたと言ってもよいでしょう。しかし、これも手段と目的の混同だったわけです。私は、学力を高めるための努力や、仕事能力を高めるための努力はしていましたが、幸福になるための努力を怠っていたのです。それ以降、幸福になるための努力をするようになりました。年単位の時間を使い、カウンセリングにも通って、その中で自分の人生観を言語化していきました。そこでの検討が、今の価値観に繋がっています。 ２　自分に対して嘘をつく 自分の意思を一貫させるという観点で、私が大事にしているのは、「人間は自分に対しても嘘をつく」という考え方です。大学生のころから良く使っているフレーズなのですが、思考と本心が一致しないことがある、という意味です。 ツイッターでは、「すっぱい葡萄」という表現を好んで使っている人がいますが、このフレーズでは不十分です。人間は、手に入らなかったものを不要だと考えるだけでなく、手に入れたものに勝手に価値を見出したり、感情に基づく行動に後から合理的な理由をつけたりします。それくらいに、人間の思考はアテになりません。かなり注意深く考えないと、自分自身に騙されてしまいます。 そのため、何らかの意思決定をする際には、自分に嘘をついていないだろうか？と自問するのが重要です。私は、幸福について考えるときも、自分のやりたいことと、幸福になれることを区別しています。「感情的にはやりたいけど、やってしまうと幸福度を損なう」という事象があれば、一度立ち止まって考えるようにしています。もちろん、考えた結果、「幸福には繋がらないだろうけど、やりたいからやろう」という判断をすることはあります。ただ、そのプロセスが大事だと思っています。幸福になるためにやっている行動と、感情論としてやりたいからやっている行動は、区別されるべきです。 なお、過度に自分を疑うのは好ましくありません。それなりの努力家であれば、必要なものはだいたい手に入れているはずです。また、直感的な判断が、後から考えてみても正しかったというケースもたくさんあると思います。あくまで中立的な立場で、自分に嘘をついていないか？を確認するのが大事だということです。 こういう習慣をつければ、自分の本心に反した行動（ご質問者さんが言うような、見栄えの良い仕事に戻る選択）は、少なくなると思います。