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05月09日

質問者さん

M&Aは、なぜ重要になるのでしょうか? 日本電産などはM&Aがうまい会社として頻繁に話題になっていることから、会社の経営の巧拙を決定される材料になるほど重要度は極めて高いと言えるのではないかと思います。 従来内部の経営リソースだけだと徐々にしか変えられない、薬に例えるなら漢方薬的な効果しかないところに対して、外科的手術により一気に効果を出すための手段がM&Aなのではないかと認識しておりますが、違和感ございますでしょうか。

05月09日

ネル

ネルさん

ご質問ありがとうございます。正解がない難しいテーマのご質問であり、本来的にはMDクラスの方に聞いていただくのが良いと思いますが、可能な範囲でお答えします。 0 前提 1 時間を買う 2 取引先の奪い合い 3 選択と集中 4 私の意見 0 前提 まず、M&Aはカテゴリ名です。M&Aの中に買収や合併、経営統合、合弁、資本提携などがあり、それぞれで意義が異なると思います。ここでは、M&Aの中でも見かけることの多い、買収と売却(と吸収合併)について回答します。 また、企業買収は、買いたい人と売りたい人が両方いなければ成立しません。企業は希少性が高い資産(どの企業もある程度はユニークな企業であるため)なので、基本的には売り手の立場のほうが強いです。買いたい企業が「非売品」であるケースは多くありますが、逆に、まともな企業が売りに出れば、誰かしらが買いたいと考える可能性は高いです。 1 時間を買う 教科書的なメリットとして代表的なものは、時間を買えるという点です。買収のメリットとして、多角化、規模化、ノウハウ獲得、人材獲得などが挙げられることもありますが、これらは時間をかければ自社でもできるでしょう。 しかし、買収という手段を使えば、より短期間で実現できる可能性があります。企業買収にかかる期間は、小規模なものなら数か月程度、大規模なものでも1-2年程度です(検討~初期的なPMIまでにかかる期間)。自社でゼロから事業を立ち上げ、人を採用し、試行錯誤してノウハウを醸成するまでに3-5年かかるという見立てなのであれば、企業買収によって数年分の時間を買うことができると言えます。 もちろん、事業の内容によっては、自社で立ち上げても1年くらいで済むものもあるでしょう。そのため、買収によって時間を買えるかどうかは、事業の内容にもよります。 企業買収の教科書的な重要性は、企業にとっての時間の重要性とだいたい同じでしょう。この観点では、研究開発競争が激しい業界や、シェア獲得争いが激しい業界ほど、企業買収が重要になります。 2 取引先の奪い合い 実務でよく発生する事例として、取引先を買収するケースがあります。このケースの重要性について説明します。 サプライヤーが独立して経営されている場合、あえて買収する必要はないかもしれません。しかし、サプライヤーが売りに出て、競合企業に買収されてしまった場合、自社への経営に問題が生じる可能性があります。 例えば、自社をA社、競合をB社、サプライヤーをS社とし、B社がS社を買収したとします。当然、B社は、S社の売上も気にしなければなりませんから、いきなりA社との取引を停止するということはでしょう。しかし、生産が追い付かなくなったときにB社への供給を優先する可能性は高いですし、A社との価格交渉や条件交渉で強気な態度になるかもしれません。 結果として、S社の買収をとおして、A社とB社の競争力に差が出る可能性が高いです。時間を買うだとか、多角化だとかではなく、買収をしないことによって自社の既存事業に影響が出るケースがあります。 昨今はM&Aの案件数自体が増加しているため、当然このような取引も増えているはずです。したがって、「新規事業を行わないから買収をしなくてよい」といった発想では、徐々に競争力を失っていくと考えられます。この点が、企業買収の重要性が増している背景の1つです。 3 選択と集中 資本市場主導で重要になってきているのが、選択と集中です。日本の資本市場では、カルソニックカンセイの売却あたりから顕著になった論点です。 従来の日本企業は、銀行による企業統治(バンク・ガバナンス)が中心でした。このため、日本企業では成長性や効率性よりも、安全性が重視されてきました。多角化を進めることで、1つや2つ事業が失敗しても法人としては生き残れる状況を作るのが、良い経営だとされていました。 しかし、様々な要因によって、日本企業にも株主による企業統治(エクイティ・ガバナンス)が求められるようになりました。すなわち、銀行ばかりを重視するのではなく、株主のこともある程度重視せよということです。株主重視になってくると、企業は成長性や効率性を求められます。誤解されがちですが、日本におけるエクイティ・ガバナンスは、「行き過ぎたバンク・ガバナンスの是正」くらいの意味合いであって、米国などと比べると大してエクイティ・ガバナンスではありません。 さて、成長性や効率性が重視されるようになると、「成長性の低い事業は売却し、成長性の高い事業に経営資源を集中せよ」という圧力がかかります。これが選択と集中です。選択と集中の文脈で、いろんな事業が売りに出て、同時にいろんな企業が事業を買収しました。 模式図としては、A社とB社がそれぞれX事業とY事業を持っている状況で、A社がB社のX事業を買収し、B社がA社のY事業を買収するようなイメージです。このような交換が行われることで、多角化した2社が解体され、単一事業の2社に生まれ変わります。 このようにすることで、両社が1つの事業に集中することができます。2つの事業に経営資源を分散するよりも、1つの事業に集中したほうが、事業の成長性が高まるという理屈です。経営資源を効率的に投下し、企業としての競争力を高めるために、買収・売却という手段が重要だということです。 4 私の意見 一般論ではなく、私個人の意見としては、「金余り」という時代背景のためにM&Aが重要だと考えています。どちらかというとエクイティ・ガバナンスの話です。 製造業の時代においては、企業の成長のためには生産設備の拡張が必要でした。言い換えると、企業には常に、「生産設備」というお金の使い道がありました。しかし、ICTが中心となった現代では、巨額の先行投資は、成長のために必ずしも必要になりません。少なくとも製造業の時代ほどには必要ないでしょう。そのため、多くの企業や投資家がお金の使い道を失い、現金が余剰しはじめました。 高収益企業のうち、相対的に設備投資が必要のない企業では、毎年のように巨額の現金が積み上がっていきます。私は、この現金の使い道として、企業買収が非常に重要な手段だと考えています。 株主にとっての価値(バリュエーション)の観点でも、ただ単に現金を持っているだけの企業はたいして評価されません。一方で、積極的に事業投資を行い、利益やキャッシュフローをどんどん積み上げている会社は、高く評価されるでしょう。 強い言い方をすると、今の時代には、お金を使うことのできる企業が求められています。大半の平凡な企業と投資家は、お金を余らせています。設備投資を必要としない会社にとって、企業買収というのは、非常に重要なお金の使い道の1つです。 要するに、お金を使いこなせる企業が求められている現代において、M&Aという巨額の資金を使う手段が注目されているのだと捉えています。私は、今後もこの流れは継続すると考えています。

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05月09日

M&Aは、なぜ重要になるのでしょうか? 日本電産などはM&Aがうまい会社として頻繁に話題になっていることから、会社の経営の巧拙を決定される材料になるほど重要度は極めて高いと言えるのではないかと思います。 従来内部の経営リソースだけだと徐々にしか変えられない、薬に例えるなら漢方薬的な効果しかないところに対して、外科的手術により一気に効果を出すための手段がM&Aなのではないかと認識しておりますが、違和感ございますでしょうか。

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