ネルさんがよくおっしゃるニートの才能ってなんですか？ニートに才能とか必要ないと思いますけど

無職の才能は、いくつかの要素で構成されると思います。 １　総行動量 ２　停滞耐性 ３　地位と世間体 １　総行動量 人間というのは、忙しすぎるとストレスを感じるのですが、暇すぎてもストレスを感じます。よって、適度にやることがある状態というのが、最も快適だと言えます。当然、無職の場合、過度に暇になるリスクを気にする必要があります。 しかし、多忙な生活を続けられる人がいるのと同じように、暇でもストレスを感じづらい人がいます。この理由は、総行動量にあると思います。例えば、毎日10時間寝て、8時間ぼーっとして、残り6時間しか行動していない、みたいな人が存在します。こういう人は、実質的に1日6時間の生活をしていますから、一般的な人にとっての暇すぎる状態であっても、暇だと感じづらいのだと思います。 総行動量の多い人が無職になると、暇すぎる生活が苦痛になったり、最悪のケースでは、暇を持て余して反社会的な行動をとるようになったりします。いわゆる小人閑居です。 ２　停滞耐性 次に、停滞耐性というものがあります。快適な人生を送るためには、年率2%くらいの緩やかな成長が必要だと思います。国の経済と同じです。何かを犠牲にしてまで急成長する必要はないと思いますが、停滞や衰退をしてしまうと、それはそれで、不安や不満を感じることが多いです。 無職の場合、確かに働いているときにはできなかった経験をできたりはしますが、総合的にみると、能力は停滞・衰退していくことが多いです。自分の同世代が社会で活躍するようになっていく中で、自分だけが停滞したままでいるというのは、結構なストレスになると思います。このストレスに耐えられるかどうかというのも、無職になれるかどうかの重要なポイントです。 ３　地位と世間体 また、どれほど一流の企業で活躍していた人であっても、一流の起業家だったとしても、引退したらただの人です。 当然、現役時代と比べると、気にかけてくれる人は減りますし、蔑ろにされることも増えていきます。周囲からどんどん人がいなくなっていきます。世間一般は、現役の地位を重んじます。かつての栄光で評価してくれる人は多くありません。オリンピックのメダリストですら、引退してから10年も経てば、社会から忘れられます。 そのため、地位にしがみつく人は結構います。80代になっても、大企業の取締役や国会議員を続ける人がいるわけです。周囲から老害だといわれようとも、現役の地位が重要なのです。 実際、ツイッターなどを見ていると、転職や起業により地位を失った人たちが、いつまで経っても「元メガバンク」と名乗っているのを確認できるはずです。メガバンクと関係のある仕事をしているならいいと思いますよ。「元銀行員で、今は銀行向けSaaSを作っています」なら、自然な自己紹介だと思います。ただ、そうではない人が多数派だと思います。 まとめると、「総行動量が少なく、停滞することに不安がなく、地位や世間体に興味がない人」というのが、無職の才能があるといえます。 私が才能と呼んでいるのには理由があります。総行動量は、努力して増やすことはできますが、減らすことはなかなかできません。停滞や地位も同じです。一度成長を経験すると停滞するのが怖くなりますし、一度地位を手に入れると失うのが怖くなります。 要するに、上記の3つの要素は、いずれも不可逆的なものです。大半の人は、高校生～大学生くらいまでに無職の才能を失っており、二度と手に入れることはできないでしょう。中高生までに無職の才能を失わなかった人たちが、無職の才能を有しているのです。