LBOモデルにおける「その他包括利益累積額」の取り扱いについて、ご質問させてください。
買収スキーム次第ではありますが、Transactionを反映する際、時価純資産と買収価額の差分をのれんとして計上し、被買収会社の株主資本は基本的に引き継がれない認識です。時価評価の観点では、例えば被買収会社に元からのれんが計上されていた場合、時価評価によってのれんをゼロとして、その分株主資本を減らす(≒のれんが一気に償却されるイメージ)理解でおります。
モデルを作成している中で、「その他包括利益累積額」の処理で困っています。
為替や土地等の未実現損益の累積額との理解ですが、LBOモデル作成にあたって、下記2点をご教示頂けないでしょうか。
➀のれん計算時の時価純資産にその他包括利益累積額は含めて計算すべきか?
②その他包括利益累積額は、買収後も引き継がれるのか、もしくは既存のれん同様の処理をするのか?
自分でググってみたり、会計規則も見てみたのですが中々理解しきれず、、
包括利益は各期の時価評価により出てくるものなので、➀はYesな気がしております。また、未実現利益ですし、②としても引き継いでいくのではと思っていますが、ともに自信が持てません。
お忙しいところ恐縮ですが、ご教示頂ければ幸いです。
港区M&Aバンカーさん
#港区MAバンカーのMA研究所
TIPS質問ありがとうございます。
まず前段ののれんの考え方から違和感ありました。正確には、時価純資産と買収価格の差額をのれんとするのではありません。繰延税金負債分だけのれんの計算を間違えてる可能性がありますね。税効果会計やPPAの基礎を勉強するとよいでしょう。
さて、その他包括利益累計額についての質問に回答します。
① はい。PPAの時はNet asset全体で計算するのが多いと思うので、計算には含めていいと思います。
ただ、PPAでステップアップさせるのは、無形固定資産、ついで有形固定資産、ごくまれに棚卸資産や流動資産というイメージだと思うので、その他有価証券をステップアップさせる話は聞いたことないですね。
もしやるんであれば、税効果会計で認識した繰延税金資産または負債と合算して取得簿価を計算し、それを取得日で時価評価したものに再度、税効果会計を適用しなおすのが最も正しいでしょう。
② 過去から積みあがっている欠損金みたいな話ではなく、引き継ぐ引き継がないという類のものではないと思います。包括利益が発生している元となる資産を引き継ぐ以上、期末時点での時価評価の会計処理が毎期発生しますから、取得簿価からの差額差額につき、毎期改めて評価差額金を計算し、税効果会計を適用して繰延税金負債または資産を認識するという話です。
冒頭に述べたように、貴殿ののれんの計算方法には誤解が含まれている可能性があるので、PPAのプロセスを正しく理解すれば、②の疑問も自然と晴れようかと思います。
以上です。