中田さんこんばんは。
数年前に中途入社してきた直属の上司(課長)が発達障害疑惑で真剣に悩んでいます。
学歴、職歴(但し転職回数は多い)、資格歴はピカピカ、勤務態度も真面目風ですが、以下のような問題があり業務が滞っています。
1. マネジメント業務以前の問題で、仕事の基本スキルが欠如している。例えば、新人でもできるような報連相や議事録作成が満足にできない。相手を問わず一方的に喋り続けてしまうなど。
2. 優先順位付けができず、費用対効果を考えない。やりやすい仕事や興味のある仕事から着手。自分のタスクに集中するあまり社外からの緊急連絡を未読スルーしたりする。
3. アウトプットは完璧を目指して時間をかけるが、高い確率で締切を守れない。故に結局質も低い。
4. 入社直後からほぼ毎日リモートワークで周りとあまりコミュニケーションを取ろうとしない。全社的には最近、出社を推奨するよう切り替えたがどこ吹く風。体調や家庭環境には問題なさそうで、出社しないのは単に「ワークライフバランスを実現する為」とのこと(本人談)。
横から見ていると何らかの発達障害っぽい?とも思ったりしますが、パーソナルなことなのでさすがに聞けません。
また、上記故にその上の上司たち(部長、役員)からは最早諦められています。何度か相談しているのですが、私含めて生え抜き社員ばかりの職場で、かなり期待されて中途採用されたために、簡単に異動もさせられないようです。さらに、少し特殊な業務内容ゆえ中々代わりも見つからなさそうで一向に状況が改善しません。
私自身や他の部下は、自分の業務に加えて、この上司のマネジメント業務も実質担っておりパンパンです。でも待遇は課長よりも低いためモチベーションが低下しています。
課長以外は仕事上の問題はなく、転職は考えていません。どのような改善策があるでしょうか。アドバイスいただけましたら嬉しいです。

中田:‖さん
まずその課長が発達障害かどうかはこの問題に際して全くどうでもいいのでその観点で悩むのはやめましょう。発達障害だと判明したところで解決しませんし、発達障害ではなかったとしても解決しません。問題はそういうレッテルではなく、現にその課長の仕事ぶりが壊滅的で部下が困っているという事態なので、その事態をどう打開すべきかだけを考えましょう。
そして、その解決の責任は部下ではなく採用・任命・雇用維持を続けている役員・部長側にあります。「もう諦められている」のであれば、諦める責任を彼らは取る必要があります。「採用したけど異動させられない、もう諦めた」では無責任にもほどがあります。彼らにきっちり落とし前をつけさせましょう。
ですので、「相談」の仕方を工夫しましょう。おそらくこれまでの相談は口頭で多少愚痴を伝えた程度ではないでしょうか。もしかすると「役員も諦めている」というのは伝聞であって、役員への直談判さえしていないのではと思います。少なくとも部長や役員は「愚痴」程度に捉えている可能性が高いでしょう。この問題は愚痴レベルのことではなく、「会社」の組織的課題であり、その解決に向けて「責任者」が「解決」すべき問題なのだ、とうことを文書にして提出しましょう。エビデンス付きで問題が明確化されて文章になっているだけで彼らはビビります。なぜならそういうメールは容易に拡散するので、その責任者が誰だ?ということになれば自らの責任が問われることは明確だからです。口頭の愚痴を握りつぶすのは簡単ですが、エビデンス付きの文書がメールなどの記録に残ってしまうと握りつぶすのは容易ではありません。「私の」「愚痴」ではなく「組織の」「課題」だ、ということを本人と周囲にわからせましょう。
いきなりそういう文書を拡散するとちょっとハレーションが大きいので、段階を踏んでエスカレーションさせる気であることを部長への提言の時点で仄めかしましょう。つまり、部長への提言の時点で「部長は部の責任者として課長を異動させるべきだと思います。それが会社のためです。それができない理由があれば教えてください。私も関係者として微力ながらお力になりますので、エビデンス付きで今度は役員の皆様にご相談します。それが会社のためです。部長レベルで解決できないなら役員のお力を仮に"一緒に"頑張りましょう」という風に、表向きは「会社のための協力」の姿勢を見せながら、実質的には「お前の無責任さを役員にエスカレートさせるぞ」というメッセージを送るのです。
ぶっちゃけ課長の異動なんて部長権限で何とでもなります。部長がそうしていないのは質問者さんたちが”何とかしてしまっている”から解決のインセンティブがないだけにすぎません。今のままでは何ともならないのだ、ということを部長に明示するだけで部長は重い腰を上げてその権限で課長を異動させることは可能です。他の部に異動させることは他の部長との折衝などもあってすぐには難しいでしょうが、部の中で新たな役割を作ってその課長の役割をシフトさせることくらいは普通にできます。既にその課長の役割を質問者さんたちが担っているのであれば、実質的な労力は変わらず、そして課長がいなくなるだけでもストレスは相当減るのではないでしょうか。
なぜこんなに断言できるかというと、まさに同じような経験をしたことがあるからです。本来はクビにすべきところをそうできなかったのは私の力不足ではありますが、その課長に別の役割を与えて部下のラインから外すことくらいはできました。(一応言っておくとその人を採用したのは私ではないのですが)
しばしば「従業員が経営目線を持つ」ことを求められるなんて理不尽だ、というコメントがSNSでバズりますが、経営目線を持つことは従業員である自分自身を守るために非常に有用です。質問者さんのこれまでの訴えが握りつぶされてきたのは、経営目線では質問者さんの苦境は「よくある一社員の愚痴」に捉えられたからです。経営目線で見た時、どういうツールを使って、どういう人を動かして、どういう順番で攻められると動かざるを得ないのか、ということを知っておくのはご自身を守るために極めて重要です。私が部長だったら、役員だったら、社長だったら何をするだろうか、何ができるだろうかという視点を常に持っておくと社内の動きの見方も自分の動き方も変わってきますのでお勧めですよ。