中田さん、いつも中田さんのTweetからとても勉強させていただいております。
「何が聞きたいのかわからない質問への対応方法」についてご相談させてください。私はとある領域の専門家をしております。そのため、社内の様々な方から当該領域について質問を受けます。それ自体は自分の仕事なので良いのですが、最近、特に若手から、何が聞きたいのかよく分からない質問メールが大量にきており、疲弊してしまっています。例えば、「(ばくっと)当該領域について教えてください」だったり、結論(聞きたいこと)から書いておらず長文を読んでやっと内容が理解できたり、そもそも何が聞きたいのか分からなかったり、などです。放っておきたい気持ちもあるのですが、上席の方が「この領域なら○○(私)に聞いてみろ」と言っているようで、CCに入っていたりして、邪険にもできません。かといって、質問の仕方や文章の書き方をイチから教える労力もありません。中田さんも、多くの質問を受けていらっしゃると思いますが、こういった場合どのように対応されますか。
中田:‖さん
お疲れ様です。私なら以下の対応を行います。
(1)「このご質問内容は〇〇さん(CCされている上司)のレビューを受けた上でのご質問でしょうか?要領を得ないのでまずは確認させてください」とその上司をCCしたまま返します。その上司がまともなのであれば、(a)上司が質問文を修正させて改めて送られてくるか(b)その上司から改めて質問が来るか(c)質問自体が取りやめられるか、のいずれかになるでしょう。その上司は単にめんどくさいから「そのテーマらなあの人に聞いといて」と言っているだけの可能性が高く、そのめんどくささをこちらに押し付けないでほしい、と暗に指摘する効果があります。
その上司もイケテナイ場合はこんなにうまくはいかないのですが、とはいえ「要領を得ない質問なので念のため確認です」と添えれば、上司としては「これは私がレビューして承認した質問文だ」とは言いにくいでしょう。自分がアホだということを認めることになってしまうからです。なので「うちの若いもんが不躾な質問を"勝手に"送ってしまって申し訳ない、本件は忘れてほしい」となることも多いものです。
(2)マニュアルやFAQを用意するのも効果的です。問い合わせのある内容って、2割くらいの種類の質問が全質問の8割くらいを占めたりしないでしょうか。であるならば、その2割の種類の質問に対する答えをあらかじめ用意して社内イントラに載せておくだけで8割の質問は「このFAQを読んでね」で返せます。要領を得ない質問やひたすら長い質問は「マニュアル/FAQを読みましたか?」とまず聞くのも一法です。(1)と組み合わせて「マニュアルを読んで上司の方のレビューを受けた上でのご質問ですか?」と聞くのも良いでしょう。社内イントラに載せても多くの人はそのマニュアルの存在に気付かないので(まぁそれは仕方がないです。大企業であれば膨大な量のマニュアルがありますから)それを指摘するだけで本人かその上司が「マニュアルがあることを知りませんでした、ご放念ください」と言ってくることが多いものです。
ちなみにこのマニュアルを社内にリリースする時や、このマニュアルの冒頭のページには「いかにこれが便利なマニュアルであって、一般には手に入らず、この会社の社員のために特化されていて、もしコンサルに依頼すれば〇〇〇〇万円くらいかかる代物である」ことを添えたりしてひたすら恩着せがましくしておくことも効果的です。実際にこういうことを外注してコンサルにやらせると1,000万円くらいかかったりしますから、リアルに見積もりを取ってもらって名指してマニュアルに書いてみるのも一案です。「外注すれば1,000万円かかるとわかりましたので弊部にて内製化しました」と。これはつまり、問い合わせに回答することにはコストがかかっているのだ、ということを社内に周知させる効果もあります。
ちなみにこのマニュアル、真面目に書けば本当に出版できるレベルになったりしますよ。自社でよく聞かれることは他社でもよく聞かれている可能性が高く、業界内ではそこそこ需要があったりするものです。儲からないと思いますが(しかも印税は会社帰属だと思いますが)ご自身のトラックレコードになりますので出版も視野に入れると良いと思います。