03月12日

質問者さん

impellaのモニターの解釈について教えて頂きたいです。 位置波形とモーター波形、最大、最小などです。

10月23日

メカ医

メカ医さん

ご質問ありがとうございます。 Impellaコンソールのモニター解釈についてのご質問ありがとうございます。 まず自分が使用している所見のまとめとしまして、 1️⃣平均流量→ P-Levelの適正設定 2️⃣最小流量→Weaning期には離脱の指標、ECPELLA時には血圧管理の指標 3️⃣最大流量→Impellaポンプの機械特性としての作動状態モニタリング 4️⃣位置波形→移動時や手技中の大動脈圧モニター、この後のLV波形を適切に使うために要校正 5️⃣LV波形(≠LVEDP)→suctionの予測と原因鑑別 6️⃣モーター波形→SmartAssist以降はLV波形に統合(P-3以下では今でも使用可能) という形で使用しています。 順番にご説明させて頂きます。 1️⃣平均流量→ P-Levelの適正設定 これは頻用していますが、Impellaは軸流ポンプであり、遠心ポンプのECMOと異なりある程度P-Levelに応じた回転数で作動”できてしまいます”。適正とは回転数によって生じた揚程が効率よく血液運搬に使用されている状態であり、過小な作動はEDP増加による鬱血の増悪のリスク、過大は溶血のリスクとなるため適正範囲内のコントロールが大切です。 ここは難しく考えるとどこまでも考えられてしまうため、まわりのスタッフ・専攻医には深く考えずにテキストブックP.22の理想状態における流量の範囲を逸脱しないようにP-Levelを設定するように話しています。 参考:Impella CPの場合 (L/min) P-1: 0.0-0.9 P-2: 1.1-2.1 P-3: 1.6-2.3 P-4: 2.0-2.5 P-5: 2.3-2.7 P-6: 2.5-2.9 P-7: 2.9-3.3 P-8: 3.1-3.4 P-9: 3.3-3.7 ポイントとしてP-2からP-6まで、P-7からP-9は2000回転刻みで上がっていくのに対してP-6→P-7は3000回転 (=1.5倍)変化しますのでその前後では作動状況が大きく変わる可能性があります。さらにP-1→P-2は8000回転 (4倍)なのでECPELLAでECMO流量を大きく取り血管拡張薬で血圧を低くする管理を行う場合以外には、P-2でサクションが鳴るからP-1にしても逆流防止作動が働いてしまい、下手すると内部でP-2以上に上がってしまうことがあるため注意が必要です。 ここまでの話を踏まえて逆に言えばImpellaのその時その時のP-levelはある程度周囲の条件で決まってしまうため、選択するものではないのかもしれません(現在AIでこの辺を自動制御する研究が国順で進んでいるとも聞きました。)。 2️⃣最小流量→Weaning期には離脱の指標、蘇生期には血圧管理の指標 平均流量で述べた通りImpellaの適正作動できるP-levelは外的要因で決まってしまうのですが、Weaning phaseではP-levelを敢えて下げていくということもあります。平均流量は最大と最小流量で決まり、最小流量は揚程が最大となる拡張期の流量を反映しています。 拡張期の流量が低下する原因としては ①自己拍出が十分に回復したため収縮期に十分血液が拍出されてしまい、拡張期にImpellaが運ぶ血液が残っていない ②循環血液量が不足、もしくは拡張期時点のポンプが位置が悪く血液があるけれども吸えない ③左室-大動脈圧格差があり過ぎて揚程がそちらに使用されてしまい流量が減少する のいずれかであり①であれば更にP-levelを下げても問題ないと考えられるため最小流量はP-level weaningの指標になります。(目安0.5L/min以下であり上記②③が除外されていればP-levelは安心して下げられます。逆にHF-CSなどでもともとのLVEDVが多くLVEDPがある程度高い状態が定常状態の場合には0.5L/min以上でもweaningすることもあります) ②は所謂suction手前もしくはsuction鳴動中と思いますので下記の他の指標と組み合わせて対処を考えます ③は蘇生期のECPELLA管理中のpartial support時に考えることですがもう少し流量を出したい(ECMO+Impellaでもう少しCOを出したい、もしくはImpella AIをキャンセルするImpella flowを出したい等)と考える時に降圧の指標として用いることがあります。 3️⃣最大流量→Impellaポンプの機械特性としての作動状態モニタリング 最大流量は収縮期の大動脈弁が解放され左室-大動脈圧格差が理論上0mmHgとなる時の流量なので理論上は血圧がいくつであれ、P-levelで設定された機械特性上出る流量が一定となります。 実際には血圧や吸入・吐出部付近の抵抗値で多少は減量するため、添付文書に記載されている圧-流量曲線の図からPG 0mmHgの部分を抜き出し-0.5L/minした以下の値前後になるのが正常と考えています。 参考: Impella CPの場合(L/min) P-1: 1.3-1.8 P-2: 2.0-2.5 P-3: 2.3-2.8 P-4: 2.4-2.9 P-5: 2.6-3.1 P-6: 2.8-3.3 P-7: 3.1-3.6 P-8: 3.3-3.8 P-9: 3.5-4.0 この値よりも下がっている場合には、多くの場合には位置が悪いことが予想されるのでまずは位置調整を試みますが、改善しない場合or極端に低い場合には吸入部血栓やカニューレ内血栓、パージの不足による羽根車の異常等何らかの抵抗の増大を疑い、あまりに異常が続く場合にはポンプの突然停止のリスクもあるため交換や5.5へのupgradeを準備します。 4️⃣位置波形→移動時や手技中の大動脈圧モニター、この後のLV波形を適切に使うために要校正 基本的には大動脈圧と一緒ですがpitfallとしてポンプを接続した時点の高さでゼロ校正を行うようなので、挿入時に台を極端に下げている状態で準備して接続すると値が狂う可能性があります。管理中にA-lineと大きく乖離するようであればサービスメニューの中にいつからかAo波形の調整というゼロ点校正ができるようになりましたのでここから調整することをお勧めします。(ここを調整しないと以下のLV波形の解釈は変わりませんがLVEDPの数値には影響します。) 無論この位置波形が矩形波に近づいている場合には左室に入りかけていることを意味しますので位置調整の目安にもなります。 5️⃣LV波形(≠LVEDP)→suctionの予測と原因鑑別 上記Ao波形の調整はしていただいた上で、この波形の解釈に移ります。 解釈時点で位置波形と収縮期で離れている場合には何も考えずにまずはLV波形の調整→何も値を変えず推奨値で決定ボタン→元の画面に戻るをすることで正確に解釈が可能になります。 これをしても離れている場合には値を変更することもありますが、そうでなくcontinuous suction(収縮期も拡張期も位置波形とLV波形が離れてしまう)の前触れの可能性があるためその場合にはcontinuous suctionとして①位置を変更する②ポンプ交換をする③5.5へupgradeするといった対処をして早期に改善させます。(あまりこの状態で放置すると溶血だけでなく吸入部血栓→ポンプ停止のリスクにもなるためです) またdiastolic suction(拡張期のみ位置波形がdropする)であれば①循環血漿量を増加 ②Pレベルを下げる ③PHあればiNOを考慮します。 こちらも無論位置波形と併せて左室内もしくは大動脈内に抜けかけていることを早期に察知して位置調整をすることが大切です。 (これを書きながら思い出しましたが意外と回してロックをかける留め具?を慣れていない先生だと出血させない縫合固定に夢中で止め忘れることがあるため帰室前ないし後には必ずチェックします。) 6️⃣モーター波形→SmartAssist以降はLV波形に統合(P-3以下では今でも使用可能) LV波形が直感的に解釈できるようになり使用機会は減りましたが基本的にはLV波形を形成するのにはモーター波形が使用されているため基本的には同様な指標です。 強いて言えばP-3以下ではLV波形が表示されないため、モーター波形の振幅が150mAを超えるとサクションのリスクと考えて管理の参考にします。 治療でもありますがモニタリングデバイスとしても今のSmartassistは優秀で、上記の情報はImpella connectからも解釈が可能なので病院から離れていても現在の大体の管理状況が遠隔で把握できるのも良い点だと思っています。(働き方改革的にはどうかという話もありますが…) また、細かい部分はより私見が混じることもあり省略させて頂きましたのでまた是非ご質問いただけたら嬉しく思います! ご質問ありがとうございました。

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メカ医

メカ医

総合内科専門医|循環器専門医|集中治療科専門医|心エコー図専門医| ECMO,Impella,ECPELLA,POCUS,PCI|メカ(補助循環&エコー)好き医 |循環器集中治療Critical Care Caidiology修行中| 非医局| 博士(医学) | My posts are my own

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04月08日

貴重な質問の場を設けていただきありがとうございます。 emPCI時のIABPとImpellaの使い分けについて、私自身はCSで灌流不全が全面に出ている症例ではSCAI分類を参考にしてはいるもののどのデバイスを使用、組み合わせるかは何となくの肌感で決めてしまっています。先生の選択にあたっての具体的な基準や重視している点があれば教えていただきたいです。 とくに、まだ発症が間もなくCSが全面に出ていない症例においてはImpellaを入れるべきか、IABPで手軽に冠血流サポートに行くべきか非常に迷います。上記場面においても、選択に関してご教示いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

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03月10日

PCPSのフローが十分出ており、かつLacの上昇等なく臓器虚血がない状態が維持できる時、目標血圧はどのように考えますか? そういう時往々にして平均血圧が60ないとかを理由に利尿や除水が嫌厭されるばかりか人によっては軽くNorで末梢を締めるかとおもいます。 その辺の圧目標をどう考えるかご意見下さい。

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03月02日

いつも勉強になってます。重症心不全症例の栄養療法の考え方について教えてください。カテコラミンを使用してる時は経管栄養が使いづらい気がして、中心静脈栄養を行っていますがかえって前負荷を増やしてしまい、悪さをしている気がします。少ない量から経管栄養を始めた方がよいのでしょうか?

メカ医さんが

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10月24日

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ご丁寧に、ありがとうございました。理解がとても深まりました!

10月23日

impellaのモニターの解釈について教えて頂きたいです。 位置波形とモーター波形、最大、最小などです。

10月22日

いつも先生の投稿で勉強させていただいているものです 重症低体温症に対するECPR適応に関して、通常のCPAとは異なりNo flow/Low flow時間だけでなく、目撃なしの解釈に悩みます。 低体温で脳の酸素消費量が下がるとはいえ、時間の影響は大きいでしょうし、またERCではICEスコアやHOPEスコアも日本の実地医療への適応やHOPEスコアの計算の煩雑さもあり参考にはするものの自身の中ではパッとしない印象です。 現状エビデンスが乏しい部分が多いとは思いますが、先生は適応判断するにあたり参考にしたり、重視しているポイントがあれば教えていただきたく存じます。