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02月25日

質問者さん

貴重な質問の場を設けていただきありがとうございます。 emPCI時のIABPとImpellaの使い分けについて、私自身はCSで灌流不全が全面に出ている症例ではSCAI分類を参考にしてはいるもののどのデバイスを使用、組み合わせるかは何となくの肌感で決めてしまっています。先生の選択にあたっての具体的な基準や重視している点があれば教えていただきたいです。 とくに、まだ発症が間もなくCSが全面に出ていない症例においてはImpellaを入れるべきか、IABPで手軽に冠血流サポートに行くべきか非常に迷います。上記場面においても、選択に関してご教示いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

04月08日

メカ医

メカ医さん

ご質問ありがとうございます。 緊急CAG時のMCSの使い分けは緊迫している場面なのである程度自分なりのアルゴリズムで進めることが大切だと思っています。 さらに自分はかなりImpella favorな方なので基本的にIABPかImpellaか迷うくらいならImpella入れてしまうことが多いです。 PCIは現状よりも悪くなる可能性がある手技でもあるため、いざ血行動態が崩れた時、Slow flowになった時は ①拍出量↓=IABPの補助効果は自己拍出に依存するため効果も低下、②LVEDPが増加し鬱血、冠微小循環障害=IABPではunloading不十分のためImpellaでLVEDPを下げる必要がある ことを考えるとImpellaを使用することに躊躇しないようにしています。 勿論合併症を起こしては元も子もないため、穿刺部出血予防、溶血予防、AR予防など様々なImeplla管理の工夫の上でIABPと同等、、、とまではまだいかないですがImpellaのデメリットが解消されれば迷うことは減るのかなと思います(勿論金額で言うと大きな違いですが、血行動態が崩れるリスクや何より急変するリスク、また急変した後の医療費を考慮すればAMIへのPCIで最大限のprotectionは妥当だと自分は考えています) 下記に自分なりの選択基準とアルゴリズムを述べさせていただきますので是非先生のアルゴリズムを考えていただく参考になりましたら幸いです。 ①カテ室入室時 ・血圧不安定(ノルアド持続注が高用量必要) ・心拍応答不全(※最後に詳述)(HR 80bpmくらいでショックなのに代償性頻脈になっていない等) ・意識レベルが悪い(LOSの兆候として) 上記が複数or他にもショックの増悪からCPAへ移行する懸念あれば橈骨アプローチの準備中にcollapseするかもしれないので両鼡径消毒だけしてまずImpella(無ければIABP)を挿入する方向にします。ダイレーションを省略するため7Frシースを挿入します。その間に更に不安定性が増すなら迷わずにシースを確保せずともECMOを先に最短で挿入します。ここでCAGを優先しないのはLMT病変やRCA os病変99%であった際にCAGでcollapseするかもしれないからです。 上記がなかった場合には②へ進みます。 ②CAG後PCI前 Impellaに関しては基本SCAI C-EかSCAI Bでも不安定性が高いと考えられる病態 →Pre PCIでまずはImpellaを挿入してからSingle accessでCAGするため鼡径からに7Frシースを挿入 SCAI Aもしくは不安定でないSCAI Bでは①が無くImpellaがある →まずはCAGを行うため鼡径からに4Frを挿入 Impellaが無くIABPを使う →右橈骨動脈穿刺準備+両鼡径消毒をしてからCAGのために橈骨動脈から6/7Glide sheath挿入 CAGの結果、 ・LAD/LMT TIMI0 ・複数病変 ・Angio上末梢塞栓のハイリスクとなるようなectasicやplaque richな病変 ・事前のエコーで低心機能や中等症以上のMRの合併 ・Xpで高度肺鬱血でNPPV/HFNC装着中 の内複数or重度の所見を認めればPCIの前に鼡径からImpella挿入後にsingle accessで同側からPCI Impellaが使用できなければIABPを挿入してから橈骨動脈よりPCIを開始します。 ③PCI後 ②の適応でもなかった場合PCI中にSlow flowになれば勿論Impella入れますが、PCIが無事終わっても心不全(肺鬱血)やSCAI stage B以上(低血圧、乳酸値上昇など)があれば挿入してからCCUへ帰室します。 一方でCOが不足している訳ではなく鎮静の影響やhypovolemicに起因する低血圧に対してはNor高用量を入れるよりはIABPを挿入して整えやすくする時は唯一自分がImpellaも選べるとしてもIABPを選択するタイミングです。 ちなみにIABP挿入を挿入を考慮するときほどPCIは橈骨動脈アプローチにしてました。と言うのも鼡径から開始して崩れた時に対側からIABPを入れても崩れ続けた時にPCIのシステムを抜去しないとECMOが挿入できず、もしIABPをECMOに交換したとしてもECMO+IABP補助下でのPCI継続が困難となるためです。 ちなみに今はImpellaシースからSingle access でPCIできるので鼡径から不安定ならImpella入れてそのままのアクセスでPCIを始めてしまうのでよりシンプルになりました。 ご質問ありがとうございました。是非またご質問お待ちしております! ーーーーーーー 「心拍応答不全」についての補足説明 意味合いとしては「本来頻脈にならないとおかしい状況なのに頻脈化していない」ことを意図しています。 頻脈にならないといけない状況なのに、頻脈になれていない(≒代償不全)と考えれば、貴重な代償機構を一つ失しているため心停止まで至る可能性も速度も早いのではないか、と考えています。 (そのため「頻脈になっていない」ことだけでは有意とせずに、他の低血圧やLOS徴候が併存していることが前提となります。) 考えられる心拍応答不全の原因としては ①すでに代償破綻の状態にある(既に一番危険) ②高齢者で洞不全や伝導障害の合併 ③未知の薬剤投与(β遮断薬だけでなくドネペジルや抗うつ薬など徐脈を副作用で惹起するものを含む) ④Bezold Jarisch反射 ④についてはRCAのACSでよくある下壁に副交感神経の受容体分布が多いため徐脈・低血圧になりやすい反射の名称です。機械的受容体反射は上述の通り下壁に多いのですが、この反射自体は循環血漿量が低下した際にも起こりやすいことが指摘されており全身麻酔での腹部手術症例での発症や下記の通りCAG前の橈骨動脈Spasm解除を目的としたニトログリセリンでの発症(結果的にLMTの高度狭窄)なども報告されています。 ACSは脱水状態による血栓傾向から発症する可能性があることを鑑みても、循環血漿量減少性ショックとBezold Jarisch反射が同時に起これば急速な心停止に繋がりかねないと考えるため「心拍応答不全」様の病態の際には自分は急変予知のアンテナ?ギア?を一段階上げて鼠径からのMCSスタンバイを急ぐようにしています。 一般的には頻脈・皮膚湿潤もショック徴候としてギアを上げる要素ではありますが、経験上は頻脈・皮膚湿潤があることよりも心拍応答不全が疑われる不釣り合いな徐脈の方が急速に破綻する気がしてしまい身構えてしまいます… ただ上記のように心拍応答不全自体はこちらが介入していないACSの時には病態として覚知して介入する時もあれば、心不全の治療としてβ遮断薬をリミッターとして使うことで敢えて心拍応答不全を起こして心保護を期待する、その場合にも起こし過ぎないように調整するなど我々の普段の診療に結構密接に関わっています。 更には集中治療中では鎮静鎮痛薬による交感神経抑制による心拍応答不全もあるのでCPO(MAP×CO/451)が低い時のCO低下の原因がHRでRASS-4や-5であれば鎮静薬減量を考えたりもしますので、「今現在の心拍数は病態もしくは治療介入の結果と釣り合っているか?」を意識することが大切だと思います。

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メカ医

メカ医

総合内科専門医|循環器専門医|集中治療科専門医|心エコー図専門医| ECMO,Impella,ECPELLA,POCUS,PCI|メカ(補助循環&エコー)好き医 |循環器集中治療Critical Care Caidiology修行中| 非医局| 博士(医学) | My posts are my own

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メカ医さんが

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04月08日

貴重な質問の場を設けていただきありがとうございます。 emPCI時のIABPとImpellaの使い分けについて、私自身はCSで灌流不全が全面に出ている症例ではSCAI分類を参考にしてはいるもののどのデバイスを使用、組み合わせるかは何となくの肌感で決めてしまっています。先生の選択にあたっての具体的な基準や重視している点があれば教えていただきたいです。 とくに、まだ発症が間もなくCSが全面に出ていない症例においてはImpellaを入れるべきか、IABPで手軽に冠血流サポートに行くべきか非常に迷います。上記場面においても、選択に関してご教示いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

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03月10日

PCPSのフローが十分出ており、かつLacの上昇等なく臓器虚血がない状態が維持できる時、目標血圧はどのように考えますか? そういう時往々にして平均血圧が60ないとかを理由に利尿や除水が嫌厭されるばかりか人によっては軽くNorで末梢を締めるかとおもいます。 その辺の圧目標をどう考えるかご意見下さい。

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03月02日

いつも勉強になってます。重症心不全症例の栄養療法の考え方について教えてください。カテコラミンを使用してる時は経管栄養が使いづらい気がして、中心静脈栄養を行っていますがかえって前負荷を増やしてしまい、悪さをしている気がします。少ない量から経管栄養を始めた方がよいのでしょうか?

メカ医さんが

最近答えた質問

06月22日

いつも勉強させていただいています。ありがとうございます。低心機能の方で、AF頻脈によるLOSが疑わしいとき、IABPは心電図トリガーより圧トリガーが好ましいのでしょうか?また、DCでも洞調律が維持できない場合、アミオダロンも陰性変力作用が懸念されるため、ジゴキシンをメインに使っていくのがベストなのでしょうか?よろしければお考えをお聞かせ願えると嬉しいです。

05月26日

ECMO, impella管理中の方で、エコー指標で見るべきポイントを教えていただけないでしょうか?

05月25日

いつも勉強させていただいております。 駆け出しの集中治療医です。 2点ご質問させていただきたいです。 ①エクペラのECMO,IMPELLAのバランスについて メカ医さんは上記割合をどのように決められているのでしょうか? 過去のツイートを拝見すると、DO2を稼ぎたい時やnorth south syndromeが懸念される場合はECMOメインなのかと解釈しておりましたが他にもこういったシチュエーションではIMPELLAメイン等ありましたらご教授頂きたいです。 ②右室梗塞合併しIMPELLAが回らない場合の対応。以前に右室梗塞合併しIMPELLAがp2でも回らない症例を経験したことがあります。こう言った場合、補液や強心薬等通常の右室梗塞の対応になるのでしょうか? ②についてもエクペラでの設定になります。 よろしくお願い致します。