はじめまして、いつも洞察に満ちた回答から勉強させていただいております。入籍したばかりの配偶者(36歳アメリカ人)との意見の不一致を解消するため、ご意見をいただけますと幸いです。
私はもうすぐ32歳の元金融機関勤めで、アジア駐在中に出会った夫と婚約後、夫の強い意向でアメリカに引っ越しました。現在は就労ビザの発給待ちで無職です。
そのため生活は夫に頼っている状態ですが、最近彼が業績評価で低評価を受け、昇給やボーナスが見込めず、また解雇になる可能性も出てきたそうです。これに伴い、私が就職しお金が貯まるまで結婚式を延期したいと言ってきました。挙式は4か月後ハワイで予定しており、キャンセル料は少額で済む段階ですが、私の家族はすでにチケットを手配済みです。
お金が不安なら挙式費用は全額こちらが出すし、仮に解雇されても1年分の生活費は私の貯金で賄えるから問題ないと伝えていますが、万が一を考えて嫌だの一点張りです。
挙句、子供もお金がかかるから3-4年後に考えようとも言い始めました(4年後でも私たちはまだ若いと固く信じています)。どうやら足元の資金繰りすら厳しいくらい貯金がないようで、焦燥感に駆られているようです。
片割れのやる気がないなら式はキャンセルせざるを得ないと思いますが、このまま承諾すると今後のライフイベントが全て後倒しになりそうで簡単に頷けません。
私にとっては無理なく払える金額なのに、家族も巻き込み、時間をかけて挙式費用を貯めなければならないのは何故か。フォレンジックのコンサルという高給取りのくせに、そんなに不安なら何故貯金しなかったのか。私は自分以外に生活費を依存するのも、キャリアにブランクができるのも、好きではないアメリカに引っ越すのも断腸の思いだったのに、自信満々に連れてきておいてこうなるのか。不満もたらたらです。
問題は彼の焦燥感だと思いますが、将来への不安を和らげるにはどのようなアプローチが効果的でしょうか。長々と抽象的な質問で恐縮ですが、アドバイスをいただけると嬉しいです。
中田:‖さん
大変お疲れ様です。追補も拝読しましたが、2点お伝えしたくて返信させて頂きます(Tipsもありがたく頂戴します)
1点目は、旦那様が将来を極度に不安視する背景に「不正をやらかした/加担してしまった」という類のものがあり得るのでは、ということを頭の隅に入れておいてもよいということです。旦那様が悪い人ではなかったとしても、昨今の「闇バイト」の手前のような、そうと知らずに組織ぐるみで不正に加担してしまったみたいなことは普通にあり得ます。そして、その責任者の一端として名前があがってしまうと、いくらスキルがあろうとも業界に戻ることは難しくなります。ぶっちゃけAIごときでは簡単に職がなくなるはずはなく、通常状態であれば質問者さんの仰る通り2人とも無職期間が長くなることは極めて考えづらいのですが、例外的にこの「リーガル/コンプライアンスマターでやらかす」という事態においては失職期間が長くなりがちです。この可能性と、健康問題さえ排除できれば怖いものなどありません。アメリカか日本のどちらかで必ず職はあります。
不祥事リスクも健康リスクもないのに本当に「失職しちゃうのでは」と怯えていらっしゃるのであれば、さすがにそれはちょっとアメリカという社会で生きていくのには弱すぎるのではという気がします。しかも質問者さんも働けると仰ってくれているのに怯えるとは何たることでしょうか。大見得を切ってアメリカに連れてきたのにそれはないだろう、という質問者さんの御心境はまったく正しいものであり、雇用の流動性が高いことが常識であるアメリカ社会が怖いならばジョブセキュリティがもっと強い日本で働くとか他の方法を考えた方がよいのではとさえ思います(ビザの問題などいろいろあろうとは思いますが)。
2つ目は、結婚式はともかくとして「子供を先延ばしにする」ことは全くお勧めしないということです。既に「夫婦で子供を持つタイミングで意見が分かれている」などの回答をご覧になっているとのこと、私のスタンスはすでにお聞き及びかもしれませんが、ぶっちゃけ仕事なんかよりもよほどコントロールが効かないのが妊娠・出産周りです。6組に1組は不妊というこの確率は失業率の4~8倍も高い数字です。数%しかない失業の確率を怖がるなら不妊の確率はもっと怖がらなければおかしい。しかもこの確率は年を追うごとにもっと高くなってしまいます。夫婦ともに子供が欲しいということに合意できているのならば一刻も早く子供を授かるべく動いた方がよいのです。我が家の場合は結婚して2年で妊活を開始して、そこから授かるのに4年かかりました(妊活期間としては3年)。質問者さんよりも早い年齢で妊活を始めてもなおこういうことは起き得ます。失職しても公的保険や私的保険である程度生活はカバーされますが、「子供を授かる時機を逸した」ことは保障されません。アメリカでは日本よりも里子や養子などで子供を育てることは比較的受け入れられている社会のはずですから、その選択肢もアリだという場合は妊娠の先延ばしも候補にあって良いかもしれませんが、ご自身の子を諦めたくないのであればそこを遅らせることはお勧めしません。しかも(繰り返しになってしまって恐縮ですが)その背景が「自分の専門性を不安」に思っている旦那さんというのはあまりに理由として弱いと言わざるを得ません。万一専門性がなくなっても仕事を探すんですよ。質問者さんだってそれくらいの気概は持っているんじゃないですか?
というわけで、頂いた追補では旦那さん寄りの形で収束されそうでしたが、留意点を一言申し上げたく返信させていただきました。センシティブな内容も多かろうと思いますのでTLからは削除させて頂きます。
【メモ:11月4日に頂いた追補】
ご覧いただいたかわかりませんが、11月2日19時頃「配偶者(36歳アメリカ人)との意見の不一致を解消したい」と質問をお送りしたものです。
本日、ようやく夫と落ち着いて話し合うことができましたので、ご放念いただければ幸いです。
1週間以上冷戦状態で、話し合いの度にお互い声を荒げる事態が続いておりました。友人からも妥協するなとアドバイスをもらったものの、齟齬の原因がわからず途方に暮れており、質問させていただきました。お目汚し大変失礼いたしました。
私としては2人とも無職の状態が続くことは考えにくく、夫が単にバイク等で散財したことが理由で式を渋りだしたのではと疑っておりましたが、
夫としては9年ぶりの母国が生活・労働環境ともに変わっていること、勤め先で業務の自動化・オフショア化が急速に進む中で自身の専門性に不安を感じたこと、それに私を巻き込む恐怖を抱いたことからの提案だったとのことでした。
その心痛は理解できるところですので、私も大黒柱に加わらない限り夫の不安は解消されないだろうという結論に至りました。式はひとまず延期、子供のこと等は私の年収が確定してから考えようと思います。
(以前ご回答されていた「夫婦で子供を持つタイミングで意見が分かれている」という別の質問者さんへのアドバイスも参考にさせていただこうと思います。)
Tipsはお目汚し代としてお納めいただければ嬉しいです。今後とも中田さんのポストを楽しみにしております。
(以上)