新卒でコンサルに入って2年目の者です。
まだ全くと言っていいほどバリューを出していないお荷物である自分と、何とか立ち上がって欲しいと気にかけてくださる上司と、それでも1年間で色々と溜まってしまったファーム内に対する苛立ちの気持ちで、仕事が手につかなくなり負のループに陥っています。上の方々を見ていてもああなりたいとは正直思えないせいか、乗り越えた1段先に明るい未来が待っている、と頑張るモチベが湧きません。
物事を割り切れない自分がいることも重々承知はしていますが、それなら気持ちに正直に環境を変えてしまうのも手かと考えております。この場合、投げ出してしまったという自責の念に駆られないようにすることが非常に重要と考えており、そのためにも転職先では何が合ってもしがみつく覚悟が重要と考えていますが、この発想で新卒2年目がキャリア早々に転職することに対して、人生の先輩はどうお考えでしょうか。
中田:‖さん
「転職先で何があってもしがみつく覚悟」があるのであればまずは現職でしがみついてみたらいかがでしょうか。現職ではしがみつけないけれども転職先ではしがみつけるという根拠は薄弱であるように見えます。というのも「全くバリューを出していない新人に何とか立ち上がってほしいと気にかけてくれる上司」がいる時点でだいぶ恵まれていまして、それでもしがみつけない理由があるのであれば転職先でも似た理由でやはりまたしがみつけなくなってしまう可能性が高いからです。
転職先では「ああなりたいと思える上の方々」や「乗り越えた一段左記の明るい未来」が待っているという確信があればよいと思いますが、きっと今の就職先を決めた時にも似たような淡い期待を抱いていたのでしょうから、入社前の期待が実現できると想定するのは危険です。転職は「自分にとって大切なことが今の会社では実現できない、かつ転職先では実現できる」という確信を持ててからにしましょう。「投げ出してしまったという自責の念」に駆られないようにする一番の方法は、今の会社でできる得る解決策をすべて試すことです。すべて試してダメだと分かってはじめて後悔はなくなります。
「上の方々を見ていてもああなりたいと正直思えない」からといって、それは頑張らなくていい正当化には使えません。世の中のほとんどの人は、別に「ああなりたい」とうロールモデルなどいなくとも目の前の仕事を粛々とこなしているのです。どうなるべきかというモデルが目の前にないと頑張れないというのは頑張りたくない言い訳に使われているにすぎません。完璧なロールモデルなど現れるはずがないので、多くの人は目指したい人の全てではなく部分的に真似ています。たとえばその上司がやっている仕事には憧れなくとも、「バリューを出していない部下を気をかけてあげる」大きな器は人間的に目指す価値があるという考え方もあるでしょう。
”自分の気持ちに正直になる”ことは重要ですが、それは自分の本音と対峙するためであって、環境を変えれば解決するという結論を導くものではありません。自分の気持ちに正直になった結果、変えるべきは環境ではなく自分という結論になることもあるでしょう。「なんとしてでもしがみつく覚悟」があるのであれば、まずご自身と向き合う覚悟を持って、ご自身をコンサルしてみると良いと思います。