現職が長時間労働高報酬系の職場で、順調にいけばあと5年くらいで年収1.5億円くらいは貰えそうな見込みです。お金が人生の全てではないですが、お金で解決可能な問題は多く存在し、金銭的な悩みから概ね解放されるのは大きいと思います。
一方で、今年子供が生まれたのですが、このままだと子供の成長は全て見逃してしまいそうな恐怖心があり、WLBの取れた職場に転職することも考えています。そして既に日系大手企業から普通のサラリーマンとして適度に恵まれた生活をするのには申し分のない労働時間、給与内容のオファーを貰いました。
中田さんなら、どんなことを考えて転職するしないを決めますか?論理的な話だけでなく、ご自身のキャリア経験、父としての経験からの感覚的、感情的なアドバイスなども是非いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
質問者さんにこそ『DIE WITH ZERO』をお勧めしたいと思います。
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本書はお金に余裕のあるヘッジファンドの著者が「そんなに貯め込んでどうすんねん、40歳からは稼ぐことよりどうやって使うかの方に腐心せよ」と説いており、一部の読者からは「そもそもそんなに稼げねーよ」という反発があるのですが、年収1.5億も稼げる激務の質問者さんであればこそ著者と似た境遇にいるわけで、耳を傾けるべきアドバイスが多いはずです。
収入の桁は異なりますが私自身も子供との時間を犠牲にしてしまっている自覚はあって悩ましいのですが、もしその日系企業で子供との時間も取れそうなのであれば十分に前向きに検討する価値があると思います。私も日系証券に転職したのは「このままじゃ子供もつくれない」と思ったからですし。
と同時に、子供が大きくなってきて思うのは、子供が小さいときの育児は「保育」であるのに対し、子供が大きくなってくると「教育」や「対話」にシフトしてくるため、より親としてのコミットメントが求められるのは小学校以降ではないかという気もしているんですよ。保育は外注できても対話は外注できないという言い方もできますし、もっと極端な例えを使うなら子供が乳幼児の時はペットに近く、だんだん人間になっていくので、人間としての対応の難易度が上がっていくという言い方もできます。なので質問者さんの場合、お子さんが産まれてからの5年間は1.5億を毎年稼いで、その後はもうしばらく働かなくていいようにするという方法も一法だとは思いますよ。お子さんが中学生にでもなればさすがにだんだん手が離れるでしょうから仕事に復帰するという手もありましょう。
私の知人の中には「仕事を辞めて子供の中学受験の指導を家でやっていたが、親子関係が悪化したので仕事に戻った」という人もいます。親が家にいない方が良いパターンではありますが、しかしこれがわかっただけでも後悔はないでしょうから、「もっと子供との時間を過ごしたかった」という後悔はできるだけ減らしたいものです。
なお、日系だからWLBが良いとは限らないという点は一応付言しておきます。いわゆる「年収を下げる転職」だと思いますが、年収を下げる代わりに得られるはずだったWLBは何としてでも絶対に確保するという覚悟で事前の情報収集と根回し(会社との条件は書面にするなど)を行っておきましょう。年収が下がる上に激務だと悲劇ですからね。