ご意見ありがとうございます。
名の知れたプライム上場企業からのリファレンスチェックです。最終選考前に実施。今年度から運用開始だそうです。
アンフェアだなとは思っておりましたが、転職活動に行き詰っていたこともあり、またそれほどまでに経歴詐称が多い世の中なのかと思って受けようとしていました。
>「オファーレターにサインした後ならレファレンスチェックやバックグラウンドチェックを受ける」ことを提示する
これも目からうろこでした。でもたしかにこんなアンフェアなことを要求する会社は入社後もモヤる可能性が高いので、もう一度よく考えてみます。
ありがとうございました!
就職や転職の慣習には不当なことがいくつもあり、たとえば履歴書に初手で住所を記載しなければならないのもその一つです。機微情報なのに面接官に最初からあんな情報を渡さなければいけないのは気持ち悪いこと限りなし。面接官の立場に立っても、あんな機微情報を渡されても困ると思ってしまいます。履歴書ではデフォルトで住所を書く欄があったりしますが、本来はあの形式ではなく職務経歴書(CV/Resume)だけで判断すべきでしょう。現住所は労務管理が必要になった時点で、社内で必要な人だけが把握すればよいのです(最近は労務管理が外注されていて社内のほとんどの人が知らない場合さえあります)。
だいたい、厚労省が「面接で聞いてはいけない質問」の中に「現住所」を明記しているのに、現住所付きの履歴書を提出させるとかどういうことやねんと。
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html
この「聞いてはいけない質問リスト」の中にドンピシャで「身元調査」があるわけですが、これらの質問は裏を返せば「会社が本音では質問したい事項」でもあるわけで、だからこそリファレンスチェックという形で”本人の同意のもとで”こういった調査が行われるのです。
会社の立場に立ったらとんでもない従業員が来てもらったら困るからそういう機微情報も知りたいんだ、という気持ちも理解はできますが、それは従業員から見ても同じで、とんでもない従業員がいる会社なんかに人生を賭けて入社したくないわけですよ。であるならば、従業員の個人情報を出させるなら交換で面接官の個人情報も出させればよいと思っています。だって知りたいでしょう?将来の上司や同僚になるかもしれない社員の”人となり”のこと。それが嫌なら面接官も従業員も個人情報なんてお互いに出さずにやりましょうということです。
だいたい、面接官もただの従業員にすぎず、「会社」ではありません。「会社」にとって採用は命運を分けるというなら、せめて会社の代表たる社長が面接する時だけ提出すればよいのです(社長の住所は登記簿などで調べればわかることが多いのでこの点ではフェアな取引になります)。リクルーターが学生にやらかす事件が多発したせいでリクルーター制度を廃止する企業が増えていますが、大なり小なり転職の面接でも「強い立場にいる気になっている面接官」と「弱い立場の転職候補者」では似たような構図になっており、似たリスクを抱えています。面接官にとってはほとんどの候補者を落とすことになるわけですから、落とした後は全く関係ない他人になる個人情報などおいそれと渡すべきではありません。面接官も所詮は従業員。ここ重要です。
何の話でしたっけ?
あ、リファレンスチェックの話でしたね。ちなみにこういうバックグラウンドチェックって人事部がリスク回避のために(=採用した後に文句を言われたくないから)身辺調査会社に委託する形でバックグラウンドチェックを行っているわけですが、採用の実質的な決定権を持つ将来の上司や同僚はこんなろくでもないことが行なわれているなんて知らなかったりします。せいぜい過去の経歴を確認する程度のことだと思っているかもしれません。ですので、リファレンスで提出を求められている情報や形式が理不尽だと思ったら、上司になる予定の人に「こんなこと聞かれているのですが、こういうことは毎回お聞きになっているのですか、こういった情報は皆様も重視して働かれているのですか」と聞いてみるのは一法です。転職エージェントを通じているならエージェント経由でも構いません。その潜在上司から「はい必要です」と言われたらそういう会社ということで整合性はあるのですが、場合によってはその潜在上司がびっくりして「そんなこと聞くつもりはない」とリファレンスチェックを停止するよう人事部にかけあってくれることもあります(採用側で経験アリ)。あるいはその委託先に質問形式を変えるように依頼してくれたりします(転職者として経験アリ)。委託先企業も文句を言われたくないので限界まで根掘り葉掘り聞こうとしているだけで、別に採用先はそこまで機微な情報を聞きたいとは思っていなかったりするんですよね。
というわけで、採用責任を負いたくないサラリーマンたちの責任転嫁の賜物がリファレンスチェックでありバックグラウンドチェックなので、採用の実質的な責任者を突き止めて、その人が必要とする情報以外は提出しないという姿勢で臨んでよいと思います。