中田さん、こんにちは。
いつま楽しく拝見しております。
家の購入についての相談をさせてください。
子供が生まれたことを機に家を探しています。職住接近を狙い、湾岸地域のマンションを探していましたが、なかなか予算(1.3程度まで)内で欲しい部屋が見つかりません。
そんな中、先に子育てをしている友人達に相談すると、実家へのアクセスが遠くない地域に家を買う方が良いと強く勧められました。ベビーシッターや保育園では対応できないような不測の事態に対応できる人手があった方が絶対に良いというのです。親の手をリソースのように見なしているのは、あまり気持ちの良いものではありませんが、確かにその通りだなと感じていす。
この点、私の実家は都内中心部とは離れた区のベッドタウンであり、湾岸からは距離があり、湾岸に家を購入すると、親の手を借りることはできません(妻の実家は地方のため、もともと頼れない状況です)。
そこで中田さんに質問です。こういった場合、職住接近(かつ投資の意味も込めて)を狙って湾岸のマンションを購入した方がいいか、あるいは、職住接近は諦め、実家からのアクセスの良い地域に家を買うべきか、中田さんならどうされますか。
よろしくお願いいたします。
悩みどころでしょうし諸条件によっても判断は分かれるでしょうが、私は以下3つの主な理由で住設近接を勧めます。
1)職住近接なら「不測の事態」に自分たちで対応しやすくなります。ほとんどの場合の不測の事態って子供の体調不良や怪我なんですけど、職住近接なら「午前と午後で夫婦で交代して休む」とか「先に夫だけ保育園に回収しに行って、妻の帰りを待ちつつ妻が返ってきたら自分はまた職場に戻る」みたいな連係プレーで何とかすることも可能になります(我々はそうしていました)。即ち職場が近いこと自体が「自分で何とかする」選択肢を増やしてくれるということになります。職場が遠いと「すぐに保育園に迎えに行く」とか「いったん帰宅してからまた職場に戻る」みたいな選択肢は完全に消えてしまい、ご両親を頼ることが最初から確定した生活を想定することになります。もちろん、自分たちで何とかするという選択肢が取れるのかどうかは職場や職種や職階にもよるところであり、いちど出社したら定時まで身動きが取れないようなお仕事をされているのであれば職住近接の意義が小さくなってしまうのは否めません。
(余談ながら、可能であれば看護師常駐の保育園だと安心です。体調不良になっても別室で看護してもらえるためです。いわば小児科で休んでいるのと似たような状態であり、即座に帰れなくてもさほど心配する必要がありません。子供の体調不良なんて「水分を十分にとって休む」以外にほぼ選択肢がないことがほとんどです)
2)湾岸のマンションなら、「やっぱ無理だ」となった時に住み替える選択肢があります。湾岸タワマン暴落とか言われていますが1.3億円クラスのマンションに大きな下落は起こっていませんし、中期的にまだまだ湾岸の人口は増える見込みであり、質問者さんご夫婦の他にも「できれば職住近接にしたい」と考える人々は私ども夫婦を含めていくらでもいます。だからこそ湾岸の賃貸マーケットは今も人気なので、そのうち投資家にとっての投資利回りも妥当な水準になって底を打つと見られます。よしんばここから下落トレンドだとしても、その場合はご両親のお住まいのベッドタウンのトレンドも下落に転じているはずなので、住み替えやすさにおいてはやはり流動性の高い湾岸マンションに軍配が上がり、すなわち「失敗した時の選択肢」の広さで優位になります。その意味で、まず試してみるということが可能な職住近接湾岸の方を最初の選択肢として推薦します。「やっぱりもう一つの選択肢にするべきだった」と思った時にその選択肢に乗り換えられるかは結構大きな要素です。
3)1)とも関連しますが、両親を頼るということは両親との調整業務が追加で発生するということでもあります。ご両親も不測の事態の時に何か急に頼まれてもどうしたらよいのか困るでしょうから予め調整が必要であり、保育園のお迎えひとつとっても予め保育園側に両親の顔写真を登録しておくなどの業務が発生します。一事が万事で、こういった連携をスムーズに行うには普段から緊急でなくともちょくちょく家事育児をご両親に依頼することになります(これはベビーシッターに依頼する場合も同様)。職場から離れた場所であればなおさら頼る場面は増えるでしょう。これはこれで非常に助かるとは思いますが、同時にご両親の負担はそれなりに大きくなりますし、そしてご両親と奥さんのコミュニケーション頻度も増えるでしょうから、双方で何か子育て関連の思想の対立があった時などの調整役も質問者さんが担うことになります(これはベビーシッターではほとんど発生しません。合わない人はもう依頼しなければいいのですから)。一般には両親よりも義両親の方が気を遣ってコミュニケーションするでしょうから、いわゆる嫁と姑の間の円滑なコミュニケーションを仲介するのは質問者さんになるでしょう。ただ、必然的に家にいる時間が少なくなる中でその仲介者の役割を担うのは簡単ではないかもしれません。このあたりはご両親や奥様の性格に大きく左右されるところではありますが、関係者が増えるほどコミュニケーションコストは当然上がるので、それよりは夫婦間だけの調整で何とかする方が実は楽だったという可能性も十分にあるのです。
予算1.3億円(ですよね?)で湾岸の物件がないとのことですが、幸いにも足元では湾岸マーケットは調整局面なので、ちょっと高いと思った物件、たとえば1.4億円くらいの物件でも1.3億円で指値をしても通る可能性があります。いまちょっと調べた限りでも、1.3億円以内の物件がなくはないので、あとはお気に召す物件があるかどうかといったところでしょう。少なくとも買えなくはない予算感なので、もう少し探してみることをお勧めします。
あるいは一度湾岸に賃貸で住んでみるのも一法かもしれませんね。湾岸賃貸の需要と価格帯をいちど経験すれば「いやこれは買った方がいいわ」と後悔が少なくなるかもしれません。私は湾岸に10年も賃貸で住み続けたからこそ不安なく(むしろ賃貸に後悔しながら)買おうと思えたという経緯があります。もしくは職住近接でもやっぱり両立は無理かも、と思った時に早く損切りできるという利点もあります。我々夫婦も子供が産まれてからしばらく賃貸だったので、職場からこの距離感なら何とかなるという自信があったことも購入に踏み切った背景でした。
指値のコツなどは、最近2LDKさんが出版されたマンション攻略本にも言及があるので本書がお勧めです。
https://x.com/paddy_joy/status/2042634929352380897
湾岸マンションの市場については、湾岸専門の不動産会社の藤田さんが最近出版された『あいつ湾岸タワマン買ったってよ:湾岸エリアに興味を持ったら』も大いに参考になります。
https://amzn.to/4eaGdLc
なお、これだけ職住近接推しなのに冒頭に「迷いどころ」と書いたのは、頼る先がご自身の(夫側の)親であればまだ選択肢として検討の余地があろうかなと思ったからです。仮にこれが「奥さんの実家近くに家を建てようと思う」というご相談ならもっと強く止めていました。3)で「両親と妻の間のコミュニケーション調整が負担」と書きましたが、これはまだ育児に自分が関与し続けられるだけ有利な状況とも言えるのです。もしこれが「妻が妻の実家の近くに住む」状態だと完全に妻実家側に育児が取り込まれて、夫は育児から疎外されます。育児にまつわる様々な謎ルールが夫抜きで決められていき、たまに夫が育児を”手伝う”と、そのルールに厳密に従えなくて無能呼ばわりされるという理不尽が起こりやすくなります。医学的に夫の方が正しかったとしても関係ありません。ふだん遠くから通勤している苦労は顧みられずに「ふだん育児してないくせに」的な誹りを受けるハメになります。そうやって関係が悪化していって離婚に至っても、その妻の実家近くに建てた家の住宅ローンをシングルで負った夫の方が家を出ていく悲惨な結末になったりします。離婚した後に妻の実家近くに住みたくないでしょうし、もともと通勤に不便な場所だったので必然ではあります。親類を含めて私の周りで「妻の実家近くに家を構える」パターンはとても多くて2桁に及びますが、夫が育児から疎外される事例ばかり聞きます。
この類の悲劇は非対称であり、夫の実家近くでは発生しません。なぜなら親世代は「母親抜きで育児ルールを決める」「母親を育児から疎外する」ことはダメだと思っているので夫とその両親だけで謎ルールができて母親が疎外されていくことはまずないのです(だからこそ調整業務が発生するわけですが)。かつ、もし離婚しても自分の実家近くの家なら自分が出ていくこともないでしょう。そういう意味で、仮に頼るにしても義両親でなく実親であればまだ選択肢に入るかな、と思いました。
繰り返しますが基本的に職住近接推しです。湾岸4か所に住んだ身としてもっと具体的な情報もご提供できるので気が向いたらDMください。