いつも数々の質問への多様な観点から回答、非常に興味深く拝見しております。
今後のキャリアについてご相談させてください。
▼現状
家族:30代半ば、既婚(妻も正社員)、小さな子供×2
仕事(会社員):大手企業の企画職(リーダークラス)、年収約900万、残業ほぼなし
仕事(副業):民泊事業、税引き後利益1500万ほど、既存物件の運用はほぼ手離れしている。新規出店に多少時間がかかる
▼悩み
会社員の仕事に飽きています。副業の方が年収も多くそこまで地位に興味もないためモチベーションが湧きません。
小さい頃から(特にお金に困ったことはないですが)なぜか老後不安とかお金の不安が強く、お金をしっかり稼ぐ・スキルアップするということを目標として社会人をやってきました。
副業を含め一定お金の悩みがなくなったことで、今後の方向性に少し行き詰まっています。
コーチングも受けながら今後の方向性について考えていますが、本当にいいのか悩みもあります。
▼現在考えている中長期の方向性
①会社員としてモチベーションを保つことは厳しいと思っているため将来的には独立した方が良さそう
②建築・間取り・アドバイザー的(自分の知識を活かして人になにか伝える)な仕事は好き
③上記の方向性を活かし、不動産・宿泊領域のコンサル的な仕事をしていきたい
▼現在考えている短期の方向性
中長期の方向はあれど、以下の不安がある。
・今すぐに独立することは不安もある。(民泊もいつまで順調か分からない)
・営業経験がなく、独立して仕事取れるか分からない
そのため、短期的には興味のある不動産・建築に近い領域の営業組織への異動希望を出す。また副業として中長期の方針に近い仕事をやり始める。
▼上記で不安に感じていること
営業未経験のため流石に職位は落ちると思っています。中田さん非推奨の年収悪化を伴う転職に近いかなと。
それに伴いある程度裁量があった今のポジションからガチガチの営業になることで家庭に悪影響を与えるかも。
また、(自分の中で中長期での会社員ルートはほぼないと思ってますが、)会社員としての年収を上げることが難しくなる。
以上長文となってしまいましたが、ご意見いただけますと幸いです。

中田:‖さん
独立したことがない身では説得力のあることを申せませんが、妥当な路線に見えます。副業が順調のようですし、しかし独立して安心の規模ではなく、そしてもう少し副業の規模を大きくしたりご自身のお好きな仕事に手を伸ばしたりするには本業の会社員の地位があった方が資金調達の面で(あるいは精神的にも)大きく有利なのは間違いないでしょう。そのような中では、副業の安心感を背景にして会社の中で異動するというのはリスクを抑えた上で挑戦できる有利な選択肢に見えます。
年収が落ちるかもとのことですが、さすがに基礎年収は落ちないのではないでしょうか?ボーナスについては異動しなくても落ちることはあるのでそこはある程度大目に見ましょう。そして異業種であっても普通は基礎年収は落とさずに異動することが可能なはずです。なぜならそれこそがいわゆる「メンバーシップ型」の日本企業の特徴であり(日系企業とは書かれていませんがもし外資ならもっと上の給料を目指せます)、ジョブに関わらず決まるシステムなのですから異動したところで落ちるはずがありません。ボーナスでさえ、ある程度は異動前の水準が考慮されるはずです。なぜなら少なからぬ日本企業でボーナスは基本給の後払いという位置づけを有しているからです。
実質的には年収より裁量の方が苦しいかもしれませんね。仕事のストレスは勤務時間よりも裁量の有無の方が強く効いてくるものです。ストレスがたまると副業に割く時間も精神力も削られてしまうかもしれません。そうなると本末転倒です。
なのでまずはご自身の会社における営業の方針がどうなっているのか調べることをお勧めします。営業だから裁量がないというわけでもなく、たとえば完全歩合制の業務委託型営業の場合はサボれば給料ゼロになるだけなので誰も厳しく指導しなかったりするわけですよ。こういう形の方が実は精神的にも生活的にも楽だという人はたくさんいます。営業の仕事が厳しくなりがちなのはいくらサボっても基本給分は支給されるので放っておくとみんなサボってしまうからです。しかし昨今は会社もパワハラで訴えられるのを恐れてあまり厳しく指導しない営業部門が増え、本当に基本給を貪る人が多くなっているケースも散見されます。そういうチーム、御社にもありませんか?
あるいは、営業の本職ではなく営業支援的な部署を探すというのも一手です。企画職も会社によっては営業支援の位置づけだったりするのですが、企画という名前でなくとも調査(リサーチ)とかそういう形で営業の後ろで仕事をしつつ、営業ほどアップサイドはないけれども営業ほどノルマはなく、しかし営業の仕事はつぶさに見ているし場合によっては自分が営業することもある、というようなチームがあるとご自身の勉強にも有利かもしれません。営業本職になると他のセールスが競合になってしまって先輩に教わる機会が減り勝ちですが、営業支援であれば多くのセールスから学ぶことが多かったりします。企画が多くの部署と関わるのと似た形ですね。何が売れるのか?を俯瞰的に見られる立場にいることはご自身で会社を興すときにとても有利に働きます(とはいえ独立時の競合規定については気を付けてくださいまし)。憧れていた職業はそれ単体では食べることができなくて、キラキラ働いているように見える人の主たる収入源は別にあった、なんてことはよくあります。
というわけで、ご自身の副業や独立に役に立ちそうな社内の部署はどこなのかをつぶさに調査してみてください。いつもと違う視点で社内を眺めるだけで割と楽しくなってきたりしますよ。会社の裁量で拘束されているのではなく、自分の裁量で会社を調べているので。